里子とつくる大家族 制度化求めた「ただのおばちゃん」の覚悟とは

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文・写真 川村直子
【動画】「ひろせホーム」の廣瀬タカ子さんと子どもたち=2019年、川村直子撮影
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 「ファミリーホーム」を知っていますか? ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)は、児童福祉法に基づき、里親経験者など養育者の家庭に、親元で暮らせない5、6人の子どもを迎え入れる制度です。2009年にスタートしました。当時、国に制度化を求める里親たちの先頭に立っていたのは、千葉県君津市の自宅で小さなラーメン店を営み、里子を育てていた廣瀬タカ子さん(73)。「『ただのおばちゃん』の覚悟。真剣だから、大変さなんて感じなかった」と振り返ります。

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子どもに寄り添う廣瀬タカ子さん。ホームで数年暮らし、物心つかないうちに親のもとへ帰る子もいる。「私たちのことは忘れていいの。深く愛された経験が子どもに宿ればそれでいい。強く生き抜く力になるから」=2021年7月、千葉県君津市、川村直子撮影

 「ひろせホーム」の運営を続ける廣瀬さんが、これまでに迎えた子は約70人。里親歴は31年になりました。どんな子も「家庭で、大家族のように育てられたら」。そんな思いを胸に奔走してきた廣瀬さんに、話を聞きました。

 ――なぜファミリーホームを?

 里親になって、何らかの虐待を受けた子の多さや、その親にもまた虐待された過去があることを知りました。連鎖を断つために、里親を増やすのはもちろん、育てられる子の数を増やせたらいいんじゃないか、と。

 家庭では誰もよそゆき顔でいられません。そこが大事なの。時に感情をぶつけあい、けんかして、仲直りして、そうした大人の姿を間近で見たり、子ども自身も繰り返すうち、人との距離感やつきあい方が分かるようになっていく。家庭で育った経験がなく、施設職員や学校の先生の言う「建前」しか知らずに、社会に出てだまされてしまう子を、これまで見てきました。

「保護」ではなく「ともに暮らす」

 支援の必要な子を行政は「要保護児童」といいますが、この言葉は好きじゃない。私は、子どもを保護しているのではなく、ともに暮らしている。周囲にもそう受けとめてほしいと思っています。

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乳児をおぶって家事をする=2021年7月、千葉県君津市、川村直子撮影

 ――ホームの制度化に尽くしました。

 多人数を家庭で養育するホーム制度の設立を求めて最初は県庁へ、足かけ5年、里子をおんぶして通いました。

 県の指定第1号になった03年、千葉を含めると七つの都道県・市に多人数を家庭で受け入れるホームがありました。でも自治体の単独事業で内容にはばらつきがあり、広がらなかった。

 「国を動かすには説得力のあ…

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