性自認は女性、なのに「彼」 メーカー社員、SOGIハラで労災申請

橋本拓樹
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 性自認は女性なのに上司から男性として扱われ、うつ病になったとして、神奈川県の大手メーカーの40代社員が15日、労災申請したことを明らかにした。性的指向や性自認についてのハラスメントである「SOGI(ソジ)ハラ」だと訴えている。

 申請は14日付。東京都内で記者会見した社員によると、7~8年前に性同一性障害の診断を受けた。2017年11月に会社側へ性自認を伝え、部署を異動した。直後から上司にあたる男性社員に他の社員の前で「彼」と呼ばれ、「女として見られない」などの侮辱を受けるようになった。やめるように求めても繰り返されたという。翌18年春から体調を崩し、冬にうつ病と診断されて会社を休んだ。

 21年に職場復帰しようとしたところ、引っ越しが必要な遠隔地への転勤を命じられた。個人で加盟できる労働組合を通じて会社と交渉し、今月からは引っ越しも不要な、休職前と異なる職場に復職した。

ハラスメント対策、厳格化 「SOGIハラ」労災認定の動きも

 社員は会見で「会社も上司の発言をハラスメントとは認めてくれなかった。労災と認定されれば会社や世の中の意識も変わるかもしれない」と話した。

 ハラスメントへの視線は厳しくなっている。20年6月に改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行。これに先立ち、同年5月から労災認定の基準として、被災者の「心理的負荷」を評価する項目にパワハラが加わった。企業向けの指針では「性的指向・性自認に関する侮辱的な言動」も精神的な攻撃の例に挙げられた。こうした流れを受け、「SOGIハラ」が労災に認定される事例も出始めている。(橋本拓樹)