娘だった息子の結婚 告白から11年、母の思いはいま

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石田貴子
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 奈良県広陵町の澤井陽子さん(63)が、5人きょうだいの末っ子(28)から高校の保健室に呼び出されたのは11年前のことだった。

保健室での告白に動揺

 養護教諭と並んで向き合った我が子が言った。「手術をして男性として生きたい」

 女の子として生まれたが、髪の毛を短く切り、いつもスラックスをはいていた。男の子のような子と感じてはいたが、そこまで深く考えていたのか――。

 胸や子宮、卵巣を取る手術をすること、ホルモン注射をすること。説明を聞いても、陽子さんの頭には入ってこなかった。「健康な体にメスを入れ、性別まで変える? 一生結婚しないで生きていく子かも、と思ってはいたけれど」

 末っ子について4人の兄姉に相談すると、「本人が一番つらい。その気持ちをどうにかしてやることが先」との答え。夫(63)の考えも「応援する」だった。家族で陽子さん1人だけが、受け止められなかった。

   ◆

 「違和感」に末っ子本人が気づいたのは、体育の更衣室が男女別になった小学3、4年のころ。中学生になり「性同一性障害」の存在を知った。

 自分の体なのにそうでないような感覚。高校では水泳の授業がつらく、養護教諭に相談した。「親御さんには伝えないの」と促され、保健室で陽子さんに打ち明けた。

 「色々心配しているからこそ。つらいけど、焦らないで」。告白を受け止められないでいる陽子さんの様子に、姉が末っ子に手紙をくれた。

 「娘として大切に育ててくれ…

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