自宅療養・自粛要請…破壊された言葉、政治の消滅 國分功一郎さん

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構成・藤生京子
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 菅義偉首相が立候補しない自民党総裁選が17日に告示される。突然の退陣表明となったが、この1年の菅政治とは何だったのか。これからのリーダーに求められるものとは。民主主義と責任について考えてきた、哲学者で東京大学准教授の國分功一郎さんに聞いた。

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 正直な話、菅首相の下の名前をぱっと思い出すことができない。それくらい印象が薄かった。彼が自分の言葉で語っているのを一度も聞いたことがないためだと思う。

 そもそも、コロナ禍で困窮する国民を何とか助けよう、という思いもどれだけあったのだろうか。いま流行のAIチャットのようだった。

 総裁選不出馬には驚きも感慨もなかった。記者団の取材を2分で打ち切り、ようやく開いた会見でも十分に応答しない。「説明責任は果たさない」というこの1年の一貫した姿勢が像を結んだ。

 背景にあるのは「言葉の破壊」ではないか。最近なら「自宅療養」。これは診断や治療を受けた人が病院を出て自宅で休むという意味のはずだ。ところが、入院できない人の放置を言い換える言葉になってしまった。

 国民もこの事態に慣れてしま…

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