湯川秀樹旧宅、安藤忠雄さん設計で京大が整備 「遺志継ぐ場所に」

田中ゑれ奈
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 京都大学は、日本初のノーベル賞を受けた物理学者・湯川秀樹が晩年の四半世紀を過ごした旧宅(京都市左京区下鴨泉川町)を取得し、建築家の安藤忠雄さんの設計で整備すると発表した。マンション建設大手・長谷工コーポレーションが購入し、8月末に京大に寄付。湊長博・京大総長は15日の会見で「湯川先生はこの家の立派な庭を眺めて思索にふけり、世界中から訪れる方々と議論されていた。その遺志を継ぐ場所にしたい」と話した。

 旧宅は1933年築の木・土蔵造りかわらぶき2階建て。親族から売却の相談を受けた京大に、安藤さんが別の美術館の建設で親交のあった長谷工を紹介した。設計は安藤忠雄建築研究所、施工は長谷工が無償で担い、老朽化の激しい母屋を中心に新築する。庭や石垣、門扉などは街並みを守る観点から、補強しつつ保存する。

 湯川は京大教授を務め、49年に日本初のノーベル賞を受けた。「戦後の荒廃から立ち上がろうとする人々に、湯川さんは誇りと希望をもたらした。感染症で皆が下を向いている今、彼の功績を通して日本の将来や科学、技術、芸術の大切さを考えられたら」と安藤さん。2023年を見込む完成後は、国内外の研究者の滞在や交流の場などとして活用法を検討するという。(田中ゑれ奈)