国境こえて腎臓を提供し合った 国交正常化1年、ガザ問題では反発も

有料会員記事ガザ情勢

清宮涼、ドバイ=伊藤喜之
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 イスラエルアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンが昨年9月、米ホワイトハウスで国交樹立に合意する文書に署名してから15日で1年となった。医療分野などでも協力が進む一方、パレスチナ問題の解決は棚上げとなったままで、いまだ反発の声は根強い。清宮涼、ドバイ=伊藤喜之)

 イスラエルは、1948年の建国時からアラブ諸国と対立し、中東で国交があるのはエジプトヨルダンだけだった。昨年8月13日、トランプ米政権(当時)の仲介でUAEと国交正常化に合意し、9月11日にはバーレーンとも合意。同月15日に、ホワイトハウスで署名した。

 大使館が開設されるなど交流が進むが、中でも医療分野での進展が顕著だ。7月末にはイスラエルとUAEの間で初めて、移植のために臓器を提供しあった。

 イスラエル北部に住むシャニー・ラルキンさん(39)は、UAEの首都アブダビに住む女性に腎臓を提供した。

 ラルキンさんが臓器提供を決めたのは、腎不全にかかった自身の母親(60)のためだ。身内では血液型などの条件がクリアできず、国をまたいで臓器を提供し合うことに。4月末に病院から、「臓器移植の相手が見つかった。相手はUAEの人だがかまわないか」と連絡があった。「自分の母親と、他の人とを助けることができる。国は関係ない」と即応した。

 ラルキンさんが腎臓を提供したUAE在住の女性の娘の腎臓が、イスラエルの別の女性に移植された。ラルキンさんの母親には、イスラエルに住む男性が腎臓を提供した。いずれも手術は成功し、ラルキンさんは「ビジネス面の利益だけでなく、人の命を救うことにもつながる」と正常化を歓迎する。

 今回の臓器移植を計画したイスラエル国立臓器移植センターのタマル・アシュケナジ所長は、「身近で移植先を見つけることが難しい場合もある。近い国との間で、複数の家族を救うことができた」と振り返る。これまでもチェコなどとの間で国境をまたぐ臓器移植を行ってきた。今回、プライベートジェットで片道約3時間40分かけて、クーラーボックスに入った腎臓を運んだ。

記事の後半では、イスラエルで中東諸国との経済協力を担当するイサウィ・フレジ地域協力相のインタビューも紹介しています。

 病院間の連携も進む。イスラ…

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