海のないススキノにすみつくカモメ 実は海辺の崖より好条件

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平岡春人
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 海のない札幌市の歓楽街ススキノや閑静な住宅街をカモメが滑るように飛んでいるのを見かける。ここは日本海の石狩湾から15キロほど離れた都市だというのに、いきなりあの大きな鳴き声を聞くと港にいるような心持ちになる。北の都会のカモメを追った。

 記者は札幌に赴任してようやく半年になる。8月の終わり、山がほど近く、高級住宅街でもある札幌市中央区円山(まるやま)地区の上空を滑空する白い鳥に気づいた。さっぽろテレビ塔がある大通公園も近い場所だ。

 カラスより大きい。広げた翼を時々Mの字にした。カモメに違いない。迷い込んだのだろうか。

 「ススキノや大通公園近くのビルに営巣するものもいます」

 市民団体「エコ・ネットワーク」(札幌市)の研究員として、5年ほど前まで札幌市などのカモメを調べていた長谷川理さん(49)が教えてくれた。

 札幌にすみついているのは「オオセグロカモメ」。翼を広げると1・5メートルにもなる大型のカモメだ。体は白いが、背中と翼の上面が濃い灰色なのが特徴。日本では北海道や東北地方北部に生息し、海辺の崖に巣を作る。

 いつごろから札幌にすみつくようになったのかは不明だが、日本野鳥の会札幌支部の調査だと、2001年に市中心部の二条市場近くで1個の巣が見つかったのが最初だ。それから10年ほど調査したところ、巣の確認は年々増え、09年には50個にのぼったという。

 「海辺の崖よりビルのほうが、子育てに好条件なのかもしれません」と、長谷川さんは推測する。海辺では食べ物を得られるかどうかは天候に左右される。一方、都会は残飯などが多く、雑食のカモメにとって安定的に食べ物を得られる場所なのだ。

 長谷川さんは09年、札幌市から30キロほどの北海道小樽市の海辺と札幌市で、オオセグロカモメの巣をそれぞれ約50個調べた。1個あたりの巣立ったヒナの数は、小樽市で0・9羽だったのに対し、札幌市では1・6羽だった。

 都会ならではの危険もある…

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