漫画ゴールデンカムイ監修者に聞く 1カットに宿るアイヌの世界観
アイヌ民族が登場する人気漫画「ゴールデンカムイ」(集英社)の最新刊が17日、発売された。2014年に「週刊ヤングジャンプ」で連載が始まり、単行本のシリーズ累計発行部数は1700万部を超える人気ぶりで、アイヌ民族や文化への新たな関心を呼んできた。連載当初からアイヌ語監修を担当している、千葉大の中川裕名誉教授に、いまのヒットをどう見ているのか話を聞いた。
なかがわ・ひろし 1955年生まれ。専門分野はアイヌ語やアイヌ文化。著書に「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」(集英社新書)など。
――「ゴールデンカムイ」が多くの人に読まれ、アイヌ文化を知るきっかけとなっています。
「伝統的なアイヌ文化がどんどん失われてきた最大の原因は、大多数の日本人の無関心です。アイヌへの誤解もまだまだあります。この作品自体がそれを覆すわけではありませんが、関心がなかった人たちを引きつけて、正しい知識を得るためのきっかけをつくる力がこの作品にはあり、ありがたいことだと感じています。いまだアイヌ民族への差別はありますが、多くの人の認識が徐々に変わってきていることも感じます」
――監修者として、どのように作品に関わっているのでしょうか。
「基本的には作者の野田サトルさんに聞かれたことに答えるかたちで監修しています。数話前から設定の相談を受けることもあれば、直前の問い合わせもあります。まず野田さんが構想をほぼ立てたところで、そこでの不明部分についてサポートするという感じです」
――フィクションとどのように折り合いをつけていますか。
「これまで記録されている情…
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