音に反応しなくなった元聴導犬レオン 最期まで一緒に、私の恩返し

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高橋健次郎
写真・図版
安藤さんに抱きかかえられるレオン=2021年8月
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 朝の光が窓から差し始めた。布団で寝ている安藤美紀さん(52)=大阪府東大阪市=の隣で床に横たわり、まどろむレオンは、夢でも見ているのか、口をパクパクさせている。

 安藤さんの枕元に置いた携帯電話のアラームが鳴り始めた。レオンは跳び起き、しっぽを振りながら安藤さんの顔に鼻を近づける。

 目覚めた安藤さんは手話でレオンに合図し、アラームを止めた。行儀よくお座りをして待つレオンに、ご褒美のエサをあげる。

 安藤さんは、生まれた時から耳が聞こえない。

 現役の聴導犬だったころ、レオンはそんな風に安藤さんの「耳」の役割を果たしていた。

 聴導犬は、目の見えない人を支える盲導犬と法律上は同じ「補助犬」。自動車が近づく音、赤ちゃんの泣き声、火災報知機の音など、生活に必要なものを判断して知らせる役割を担う。

【動画】現役の聴導犬だったころのレオン。音によって伝え方を変える賢い聴導犬だった

 レオンは安藤さんの元で8年ほどその役割をつとめた後、2017年12月に引退。その仕事は、後継のアーミ(メス、8歳)に引き継がれた。

 その後も安藤さんのもとでペット犬として暮らしていたレオンに異変が起きたのは、19年秋ごろからだ。

 呼んでも反応が鈍くなり、半年もすると呼びかけに応答しなくなった。時折、音に反応するかのようなそぶりを見せることもあるが、聴導犬として活躍した時のような聴力はなくなっていた。

 今年で14歳。人間で言えば、かなりの高齢になっていた。

【動画】14歳となり、聴力が衰え始めたレオン。呼びかけに応答しなくなった

 「2人」をつないだのは、かつて、安藤さんが禁じられていたコミュニケーション手段だ。

記事後半では、安藤さんがレオンと歩んだ10年超を振り返ります。レオンと手話で会話する様子や、レオンの最期を看取った動画も掲載しています。

保護犬だったレオン

 レオンはもともと、飼い主がおらず施設で暮らす保護犬だった。

 聴導犬を育てる公益社団法人…

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