第5回「タリバンを孤立させてはだめ」 対話しなかった米国 残る報復感情

有料会員記事アフガニスタン情勢

聞き手・小瀬康太郎
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NGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」顧問の谷山博史さん 【連載】アフガニスタンを思う⑤

 イスラム主義勢力タリバンが再び権力を掌握したアフガニスタンタリバンが女性の権利をどこまで認めるかなど予断を許さない状況が続きます。国際社会の一員である日本は今後、どのように関わっていくべきなのでしょうか。

 2002~06年に現地に駐在して活動していた日本国際ボランティアセンター(JVC)前代表理事の谷山博史さん(63)は「日本はタリバンとの対話の窓口を作り、国際社会との仲介に向けたイニシアチブを取るべき」と話します。日本だからこそ果たせる役割はあるのでしょうか。

【連載初回】「退避は自分だけ」自衛隊機にただ一人 私がアフガンを飛び立つまで

イスラム主義勢力タリバンが政権を握り、混乱が続くアフガニスタンにゆかりのあるジャーナリストや有識者らに思いなどを取材する連載です。5回目では、日本はタリバンとどんな関係を築いていけばいいのか考えます。

 ――8月15日にタリバンが首都カブールを占拠し、ガニ政権が崩壊しました

 「すでにタリバンは主要都市以外に影響力を強めており、予想はできましたが、これほど早いとは思わなかった。昨年2月にトランプ政権がタリバンと米軍の段階的撤退で合意しましたが、『和平合意』でも何でもなく、撤退のための交渉に過ぎなかった。アフガニスタン政府を巻き込んでおらず、タリバンとの交渉の流れも作れていなかった。米国の準備不足が原因の一つとみられます」

 「そもそも最初から正当性のある戦争とは言いがたいと思っています。01年9月の米同時多発テロの衝撃の中、国際法上正しいかという議論がほとんどされないまま、米国は戦争に踏み切りました。旧タリバン政権が国際テロ組織『アルカイダ』指導者のオサマ・ビンラディンをかくまっているとして、米国は同国に攻撃を開始した。しかし、タリバンがテロの実行犯だったわけではなく、アルカイダと共謀したという証拠もなかった」

 「強大な軍隊で戦争をしかけたことで、市民にどれだけの被害をもたらしたことか。タリバンを『極悪非道』と一方的に断じるのではなく、この20年間の戦争は何だったのか、今こそ様々な角度から検証するべきです」

出口戦略がなかった米国

 ――なぜ、戦争は20年も続いたのでしょうか

 「戦争を終結させる機会は何度もありました。ただ『対テロ戦争』を掲げる米国が、タリバンを正当な交渉相手と認めず、対話を拒み続けたのです。米国はタリバンを根絶やしにするとして戦争を続けたと思いますが、それは出口戦略がなかったということです」

なぜ平和をもたらすはずだった米軍に対するアフガニスタン人の感情が変わっていったのか。そして、なぜタリバンへの支持が集まりだしたのか。記事後半では、谷山さんの実体験から伝えます。

 「タリバンは地下にもぐり…

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