大谷翔平の「二刀流」 合理主義の米国社会が興奮する「意外性」

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編集委員・中小路徹
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 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平の「二刀流」の活躍をどうみるか。スポーツマネジメントやスポーツ哲学などの識者に、聞いた。

「体力的にはしんどいでしょうが」 元アメフト三刀流の川上祐司・帝京大教授

 「私は『三刀流』でした。大谷のリズムが想像できる」と話すのは、元アメリカンフットボール選手で帝京大の川上祐司教授(スポーツマネジメント)。5年間、研究室のゼミの一環で、大リーグの春のキャンプのフィールドメンテナンスに従事しており、大リーグの実情にも詳しい。

 川上教授は1988年から95年まで、アメフトの実業団オンワードで、営業の仕事をしながらプレーした。ディフェンスのラインバッカー(LB)と、フィールドゴール(FG)を蹴るキッカー、攻守交代時に遠くに蹴るパンターの三つの役割を担った。92年1月のライスボウルで優勝、91~92年シーズンは、社会人の年間最優秀選手に輝いた。

 「以前はキッカーと別のポジションを掛け持つ選手は他にもいましたが、今は専任がほとんど。私の場合、三つの役割でリズムが保たれ、試合に出ていない時間が長くなるほどコンディションが悪くなるように感じていました。また、ミスした時は別のポジションでフォローしようと、集中度が増したように思います。大谷選手も、体力的にはしんどいでしょうが、二刀流の流れが体になじんでいるのではないかと思います」と語る。

 大リーグの二刀流は、なぜ現れにくいのか。

 「野球はみんなが打って、投げて、走るスポーツ。日本でも高校野球までは投手が打撃の主軸にもなるように、その本質が米国でも理解されていることはルーキーリーグなどで見て取れ、大リーグでも投打の二刀流ができる選手はいると思います。ただ、大リーグは年間162試合と過酷で、コーチからすればどちらかに専任してもらいたいのではないでしょうか。また、投手は球数や登板間隔の日数などが球団との契約で定められ、それをクリアすることが求められる。投打の二刀流を目指すなら、それを前提とした契約を結ぶ必要が生じるでしょう」と話す。

 川上教授は、投手と野手の分業は、球団が選手の雇用を創出し、その機会を守るための経済的な面もあるとみる。「選手の側も、どちらかに専念した方がメジャーと契約できる確率は高くなる。ただ、大谷選手は打って走って投げて、のいずれも、レベルの高さが数字に表れているので、古き良き時代のベースボールの本質をスタジアムで見られることに、米国の観客は興奮していると思います」

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