鞆鍛冶の歴史語る刀剣寄贈 600年前に制作か 広島・福山の資料館

佐藤英法
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 福山市鞆(とも)の浦歴史民俗資料館(広島県福山市鞆町後地)は、約600年前の室町時代の鞆地域で作られたとみられる刀剣(脇指〈わきざし〉)の寄贈を受け、15日に報道関係者向けに公開した。銘に「鞆津」と刻まれている。「津」とは港のことで、資料館は「鞆津という地名の銘を刻んだのは初めて目にする。港町で培われた鞆鍛冶(ともかじ)の歴史を知るうえで極めて貴重」としている。

 資料館によると、鞆は古くから港町として栄え、近世、近代には、いかりや船釘の生産地だったことで知られる。しかし、中世の刀鍛冶については、刀剣数点が紹介されているのにとどまるという。

 寄贈された脇指は長さ39・8センチ、反り0・9センチ。銘は「備後鞆津薮下 アサ三(ぞう)」。広島県銃砲刀剣類登録審査委員の石岡清秀さん(67)によると、薮下とは刀工集団がいた場所を示し、アサ三は刀工の名前とみられる。「制作は室町時代で、約600年前とみることができる。地鉄(じがね)も非常にすばらしい。備後刀の特徴がよく表れている」と評した。

 資料館が、鞆鍛冶をテーマにした特別展に向けて、刀剣類の情報を集めたところ、この脇指を所有していた福山市の森岡正男さん(85)が寄贈したいと申し出た。森岡さんは古武道と刀剣収集が趣味で、「長年、地元ゆかりの刀剣ということで、よくわからずに所蔵していた。鞆の歴史の解明に役立ってもらおうと、寄付することにした」とのコメントを寄せた。

 資料館の檀上浩二学芸員は「脇指は元の鞘に収まるように、鞆に里帰り(寄付)していただいた」と話す。脇指は10月15日から資料館で開催予定の特別展「鞆鍛冶~船釘・錨(いかり)の日本一~」で展示される。(佐藤英法)