有害鳥獣捕獲→自動で通知 見回り楽に 南房総で実験

川上眞
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 イノシシなどの有害鳥獣を捕獲するためのわなを見回る負担の軽減をめざす実証実験が、千葉県南房総市大井地区で始まった。わなにセンサーを取り付けて動物の捕獲を検知すると、無線通信でわなを設置した人の携帯電話に情報をメール送信する仕組みだ。情報通信技術を活用した新たな取り組みに、見回りに追われる設置者の期待は大きい。

 6日から実証実験が始まった。KDDIが同市千倉地区に海底線中継所をもつ縁で同市に協力を申し出た。子会社の「KDDIエンジニアリング」が大井地区の山林に置かれた箱わな5カ所の上部に物体の動きを感知するセンサーを取り付けた。センサーを提供したのは「エナジーワイヤレス」(東京都町田市)。またセンサーが発した「LPWA」と呼ばれる無線通信の中継機も山中に設置した。

 この無線通信は低消費電力で長距離通信ができ、携帯電話のエリア外となるような山間部でも捕獲状態の監視が可能という。標高は低いが、山が連なる同地区の複雑な地形での通信環境の分析も行う。実証実験は約3カ月間続ける。

 南房総市ではイノシシが急増しており、昨年度の捕獲数は過去最多の6196頭に上り、農作物被害額は1400万円を超えた。被害を減らすため農業者と狩猟者などが「同市有害鳥獣対策協議会」をつくり、市内に約1千基の箱わなとくくりわなを設置した。

 しかし、わなは動物がかかったかどうかを毎日のように見回る必要がある。急な山間部を、高齢者が多いわな設置者が見回るのは大きな労力で負担軽減が課題だった。

 同協議会丸山支部に所属し、実験に参加した遠藤茂さん(75)は、箱わな20カ所とくくりわな5カ所を設置している。くくりわなは毎日、箱わなは3~5日に1回は見回る必要があるため、1日に見回るのは約20カ所になる。

 遠藤さんは「元は自分の畑を守るためだけに始めたのにイノシシがどんどん増えて、わなも増えた。今じゃ見回りがライフワーク」と苦笑しながら「実験に期待しています」と話した。(川上眞)