第6波は確実に 時短解除されたけど……飲食店に広がる不安と期待

新型コロナウイルス

緑川夏生、白石和之、戸松康雄 里見稔 聞き手・高橋俊成
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 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、新潟県内全域に出されていた飲食店などへの営業時間の短縮要請が16日、解除された。客足が戻る見込みはなく、行政支援の不備を指摘する声もあった。なお続く厳しい状況に店主らは不安と期待を交錯させている。

飲食店

 新潟駅前のそば店「二葉屋」は時短要請に従い、閉店時間を午前1時から午後9時に前倒しした。店主の小林正呼(しょうご)さん(54)は「従業員を守るためには仕方なかった」。1時間早く店を開け、日持ちしない食材を使うメニューを減らし出費を抑えた。だが、酒は売れず売り上げは「時短前の1割まで落ち込んだ」。周囲には従わない店もあり「客がたくさん入っていた。新規の客も入っただろう」とうらやむ。「やむを得なかった。店を続けるためにも、辛抱して頑張っていかなきゃな……」と話した。

 駅前で2店舗を経営する男性(34)は、要請に従わず、深夜営業を続けた。客席を絞ったが満席状態が続き、コロナ禍前の売り上げとなった。4月以降の断続的な要請には従ったが、協力金を申請できるのは解除後で、支給額も営業時間の規制の根拠も十分な説明がなかった。10人以上いる従業員の給料は協力金では払えない。「感染より、ご飯が食えないリスクの方が深刻だ」と語気を強めた。

 2次会需要を見込み、午後9時から営業していたラーメン店は休業を強いられた。家賃などの固定費は貯金を切り崩して払った。県の協力金は「足しになる」と男性店主(65)は言う。ただ、ワクチン接種が広がっても変異株の影響などで感染はまた増えると感じる。「いたちごっこだ」と顔をしかめた。

 5月に続き2回目の時短要請だった長岡市。約1500の対象店のうち200店ほどが周辺に集まる殿町地区で、時短要請に応じてきた居酒屋「なじらてい」を営む川上修さん(61)は「宴会がまったくなくなり、常連さんが個人的に来てくれるだけ。今春から秋までの売り上げは平年の4分の1に減った」と嘆く。

 時短要請の解除と飲食店支援策「Go To イート」食事券の再開に期待するが、「夜の客足は元に戻らないだろう」。単価の安いランチで売り上げを増やそうと、ネット上で予約し、食べに来てもらえる仕組みを構築中だ。「新しい生活様式に合わせて店が変わらないと生き残れない」と先を見据える。

 柏崎市で「和ノ食てのひら」を営む河谷嘉一さん(42)はテイクアウトやランチ営業を試みたが、利益はなかなか上がらなかった。現在は昼、夜とも1日2組限定の予約制、料理は5500円と7700円の2コースから選ぶ形で営業している。県の飲食店支援策は「チケットに店のコード番号を記入したり、判を押したりする手間ばかりかかり、メリットはない」と批判。「家賃や光熱費などへの直接的な補助にしないと、必要なところに手が届かない」と語った。「来年いっぱいまでは厳しい状況が続くことを覚悟している」(緑川夏生、白石和之、戸松康雄)

新潟市

 38日間という長期にわたる時短要請が続いた新潟市。そのさなかも大規模な集団感染が起き、市幹部は解除後の再拡大に警戒を強めている。

 「ぎりぎりの状況。油断すればすぐに逆戻りだ」。特別警報の解除について市幹部はこう話す。

 13日までの一週間は、ほとんどの日で感染者数が前週の同じ曜日を下回った。一方、感染力が強いとされるデルタ株の影響もあり、市内の運送会社関連では14日までに63人が感染。保育施設でも園児を中心に感染が拡大した。「集団感染が起きれば感染者は一気に跳ね上がる状況に変わりはない」(市幹部)。

 解除後の対策として市は15日から順次、事業所や学校、保育園に感染対策の徹底を呼びかけるチラシや文書を送付。駅周辺の酒類を提供する飲食店約700店舗の従業員約2千人に無料でPCR検査を行う。15日の会見で中原八一市長は「気を緩めることなく感染拡大に歯止めをかけたい」とした。

 また、花角英世知事も15日の記者会見で「これまでも早期発見、早期隔離というところに取り組んできたので、今後も同様の考え方で取り組んでいきたい」とし、新潟市以外で感染が再拡大した場合は臨時のPCR検査所を設置する方針を示した。(里見稔)

     ◇

 斎藤玲子・新潟大教授(公衆衛生学)の話 特別警報が全県に拡大した8月30日を境に、感染者数や実効再生産数(1人が何人に感染させたかを示す指標)は明らかに減り、時短要請の効果はあった。自主的にイベントを中止するなどの動きもあり、人々の往来を抑制する効果も見られた。

 だが、時短要請の解除で、10月初旬にリバウンド(再拡大)が生じることは十分予想される。(第4波が落ち着いた)6月と比べればまだ感染者は多く、感染が収まったわけではない。最近もマスクを着けなかったことで大きなクラスター(感染者集団)になった例があった。

 リバウンドを防ぐためには、マスクを着けての行動を引き続き守り、大人数での会食やバーベキューは避けて欲しい。感染拡大地域との往来も控えるべきだ。

 感染力の強いデルタ株のほか、別の変異株もあり、第6波は冬に確実に来ると思う。ただ、ワクチンを接種すれば重症化や後遺症を避けられるので、接種が進めば波は小さく抑えられる。いずれはワクチンに加え、開発中の治療薬との二段構えで日常生活を取り戻せるのではないか。大規模接種なども利用し、若い世代もぜひ接種して欲しい。(聞き手・高橋俊成)

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