透明マスクで授業をともに 学生がクラウドファンディングで支援募る

新型コロナウイルス

森本美紀
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 コロナ禍のなか、マスクで口の動きや表情が見えないことで生じる授業中のコミュニケーションの「壁」をなくしたい――。きこえない大学生が、同じ悩みを持つ学生に透明マスクを届ける資金をネットで募るクラウドファンディング(CF)を始めた。周囲の学生に着けてもらうことで「安心して勉学に励める環境になるように」と支援を呼びかけている。

マスクで口元見えず きこえない学生「授業に不安」

 「透明マスク活用大作戦」と名付けた取り組みを企画したのは早稲田大学商学部4年生の川端彩加さん(25)=東京都。生まれたときからきこえず、主に相手の口の動きや表情から話の内容を理解し、発話している。9カ月ほど前から始めた手話も、口の動きや表情が助けになるという。

 ところが、新型コロナの感染拡大で、「マスク社会」に。早稲田大学も昨秋、キャンパス内で原則、マスクなどの感染対策を行うことを学生に周知した。当時、川端さんはオンライン授業だけだったため、画面越しに学生らの口元は見られたが、今年4月からの春学期の対面授業で、グループで議論するとき、マスクで口の動きや表情が見えず、だれが何を話しているのかわからない状況に直面した。「リアルタイムの会話のキャッチボールができず不完全燃焼。秋学期も授業についていけないのではと不安になった」

透明マスクは「希望の光」 CFで支援を計画

 そんなとき、川端さんと同様に、きこえない友人のツイッターで顔全体が見える透明マスクがあることを知った。「希望の光が見えた」。他の大学や専門学校などの学生らからも同じ悩みを聞いており、こうした学生に透明マスクを届け、一緒に授業を受ける学生に配布してもらえたらと考えたという。

 勉強や、教科書代を捻出するためのアルバイトに追われるなか、透明マスクの販売会社を調べた。きこえない人らを支援するNPO法人インフォメーションギャップバスター(横浜市)の協賛も得て、社会問題に特化しCFを行うグッドモーニングのサイトに現状を変えたい思いを掲載(https://camp-fire.jp/projects/view/478515別ウインドウで開きます)。8月28日、受け付けを始めた。

 届ける透明マスクは、栄商会(静岡県浜松市)が販売する「ルカミィ」(税込み880円)。内側が曇らないよう加工した特殊なフィルムで鼻と口まわりを覆い、あごの部分に不織布をつけ空気を下に逃し呼吸しやすくしたという。

人とのつながり実感できる社会に

 秋からの授業で利用してもらえるよう、CFの募集は23日まで。目標額は、透明マスクの購入代など計105万円とし、100人程度の学生に1人当たり10枚届けたいとしている。17日午後7時現在、147人から73万9280円の支援が集まっている。

 川端さんたちは、今回の活動を機に、学生のほか、高齢者、乳幼児やその親などにも拡大する計画で、透明マスク普及への支援を国に求めることも視野に入れているという。川端さんは「透明マスクで、きこえる人も安心して会話できるはず。だれもがコミュニケーションから取り残されることなく、人と人とのつながりが実感できる社会につながればうれしい」と話す。

 問い合わせは同法人の窓口(メール、clearmask-pj@infogapbuster.orgメールする)へ。

 透明マスクの配布を希望する人は同法人のwebフォーム(https://bit.ly/cm_entry別ウインドウで開きます)から。対象は全国の大学・大学院、短大、専門学校、特別支援学校の専攻科に在籍し、対面授業を受けているきこえない人ら。先着順。(森本美紀)

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