一力挑戦者が鮮やかに“燕返し” 井山名人の高等戦術も織り込み済み

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大出公二
【囲碁名人戦バーチャル大盤解説会】解説・中野寛也九段 聞き手・羽根彩夏初段~豪華ゲストも登場~【第46期囲碁名人戦第3局】
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 妖しく絡みつく名人の妖刀を、挑戦者が鮮やかな“燕(つばめ)返し”で断ち切った。第46期囲碁名人戦七番勝負(主催・朝日新聞社、協賛・株式会社 明治、マニフレックス)は、第3局も双方妥協なき白兵戦に突入。名人の巧妙な攻めに窮地に追い込まれたかに見えた挑戦者は、検討陣が気づかなかった盲点のシノギで盤上の景色を一変させた。

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対局中の井山裕太名人(右)と一力遼挑戦者=2021年9月16日、愛知県田原市、迫和義撮影

 囲碁界のツートップを占める井山裕太名人と一力遼挑戦者。ともに読みに自信があるから、戦いを辞さない。一歩でも下がればつけ込まれるから、立ち止まっての斬り合いになる。

 秘術を尽くした戦いのドラマは実戦図1、名人の白1から始まった。「モタレ攻め」といわれる高等戦術。真の狙いは白の包囲下にある▲だ。遠く白1から戦いを起こして▲周辺に白石を増強し、態勢が整えば総攻撃する。黒が戦いを避けて妥協すれば、そこでポイントを挙げたことに満足する。

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実戦図1 名人のモタレ攻め

 挑戦者は敢然、黒2と最強手で応じた。以下黒10まで切り離された右辺の白石4個は助からず、部分的には黒の大利だ。しかし話は単純ではない。白11と種石を切り離してから13と絡みつかれ、種石の動きが不自由なのだ。

 名人が描いていたであろう絵…

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