「フェミサイド実態把握を」 大学生らが1・7万人署名を国に提出へ

三島あずさ、阿部朋美
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 女性であることを理由にした殺人を意味する「フェミサイド」の国内での実態解明と対策を求め、大学生らが17日、東京都内で記者会見した。活動の一環としてオンラインで集めた署名には1万7千人余りが賛同。法相や男女共同参画相らに署名と要望書を出す。

 署名を集めたのは、都内の大学に通う皆本夏樹さん=活動名=が立ち上げた「フェミサイドのない日本を実現する会」。きっかけは、小田急線の車内で8月、女子大学生らが刃物を持った男に襲われた事件だ。殺人未遂容疑で逮捕された男が「華やかな女性や一緒にいる男性の首を切りたいと思うようになった」などと供述していると報道された。同事件では男女計10人が重軽傷を負った。

 要望書では、DVや性暴力に加え、女性を標的にした殺人事件も「フェミサイド」という用語を使って啓発に努めるよう求めた。また、過去10年間に女性が被害に遭った殺人、同未遂事件の実態を明らかにすることや、女性に対する犯罪の加害者の傾向を調査・研究することも求めている。

 皆本さんは会見で「フェミサイドは痴漢や性暴力など日常的に女性が遭う暴力の延長線上にある。DVやセクハラも言葉ができたことで実態が明らかになり、対策ができた。被害者が女性の殺人事件もジェンダーの視点で分析し、フェミサイドの実態を可視化してほしい」と求めた。

 世界保健機関(WHO)は2012年に出した女性に対する暴力に関する報告書で、フェミサイドを「女性であることを理由にした意図的な殺人」「より広い定義では、女性または少女のあらゆる殺害を含む」と説明している。

 会見に出席した早稲田大生の芹ケ野瑠奈さんは、女性を標的にした犯罪の背景にはジェンダーギャップ(男女格差)の大きさがあると指摘。「ジェンダーギャップは命にまでかかわる問題なのだということを、多くの人に認識してほしい。未来の被害者や加害者を生まないためにも、実態調査が必要だ」と話した。

 署名キャンペーンには、多くの賛同コメントが寄せられた。突然知らない男性にぶつかられたり、怒鳴られたりした経験があるという人は「幼少時から『女性』であるだけで、様々な暴力にさらされる現実を調べて欲しい」と記入。「これまで注目されていなかっただけで、犯人が女性を狙っていたという事件は多いのではないか。そういう心配のない社会に生きたい」という声もあった。(三島あずさ、阿部朋美)