自民党総裁選、4候補は所見発表演説会で何を語ったのか

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 次の首相の座を争う自民党総裁選が17日、スタートした。河野太郎行政改革担当相(58)、岸田文雄政調会長(64)、高市早苗総務相(60)、野田聖子幹事長代行(61)が立候補し、党本部で演説会に臨んだ。4氏の主な主張をまとめた。

 河野氏は冒頭、「政治を通して人と人が寄り添う、ぬくもりのある社会をつくりたい。それが私のゴールだ」と訴えた。

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オンライン出陣式で支持を訴える河野太郎氏=2021年9月17日午前9時6分、東京都千代田区、代表撮影

 初当選以降、「世の中を便利にし、新しい価値を生み出すことを邪魔している仕組みやシステムと徹底的に戦ってきた」と主張。新型コロナウイルスのワクチン接種について、担当大臣として1日100万件の目標を達成したことなどを挙げて、「河野太郎の実行力に任せていただきたい」とアピールした。コロナ禍でテレワークが進んでいるとして「今までの東京一極集中を逆回転させる。全力を挙げてやる」と語った。

 また、再生可能エネルギーへの投資を政府が率先するとし、「いつの日か、再生可能エネルギー100%も絵空事ではない」とした。経済については「アベノミクスで大きく動いたが、残念なのは賃金に波及しなかった」と指摘した。企業が社員の賃金を上げれば「法人税の減税をする」と語った。年金制度改革も「守るべきは年金制度ではない、将来の年金生活だ。一番、今やらなければいけないこと」と述べた。

 自らが国のリーダーになった場合、「これができたらいいよね、というものがあったら、積極的に手を伸ばしていく。国民一人ひとりが、自分もできるかもしれないと少しずつ手を伸ばしたら、いろんなものがつかめる。いつかは星に手が届くかもしれない。皆がそう思ってくれる日本を作りたい」と語った。

 岸田氏は、昨年の総裁選で菅義偉首相に敗れたことを「力不足だった」と振り返りつつ、「今回は違う。いまの時代に求められているリーダーは私だと強い確信を持って立っている」と語った。

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自民党総裁選告示日の朝、記者団の質問に答える岸田文雄前政調会長=2021年9月17日午前9時、東京都港区、井手さゆり撮影

 いまは丁寧で謙虚で寛容な政治が求められているとし、「様々な意見に耳を傾けつつ、一歩一歩より良い社会を作っていくことが、保守の精神だ」と訴えた。

 自らが総裁になった場合、まず党改革に着手するとし、党役員への中堅若手の登用や、総裁を除く党役員任期を1期1年連続3期までとすることを掲げた。

 コロナ対策は、「ウィズコロナを前提に従来の季節性インフルエンザと同様、従来の医療提供体制のなかで対応可能のものとする」と述べた。さらに将来の感染症危機に備えて、司令塔機能を持つ「健康危機管理庁」を設置するとした。

 コロナ禍で格差が拡大したとして、経済政策では、成長と分配の好循環が大事だと強調。成長分野では「民間企業への投資、産学官連携の科学技術とイノベーションを政策の中心に据える」と述べた。「中間層の拡大に向けて分配機能を強化し、所得を引き上げ、令和版所得倍増をめざす」とも語った。

 高市氏は「日本を守る覚悟と未来を開く覚悟を胸に、総裁選に立候補した」と語った。「国の究極の使命は国民の生命と財産を守ること、国家の主権を守り抜くことだと考えている」と強調し、「私のすべてをかけて働くことを誓う」と述べた。

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自民党総裁選に立候補し、出陣式で決意を述べる高市早苗前総務相=2021年9月17日午前11時16分、東京・永田町、西畑志朗撮影

 「保守」層を強く意識し、「新しい日本国憲法の制定について力を尽くす」と訴えた。「日本は今を生きている私たちだけのものではない」とし、「伝統文化を育み、時には尊い命をかけて美しい国土と家族を守って下さった祖先たちの国でもあり、これから生まれる子どもたちの国でもある」と語った。

 経済政策では金融緩和や機動的な財政出動自然災害などへの危機管理投資や成長投資を行い、「物価安定目標2%の実現をめざす」。アベノミクスの継承を前面に出した。

 中国の海洋進出への対応として海上保安庁法の改正や敵基地の無力化に向け「可能とする法整備を行う」とも述べ、防衛関連予算の増額を目標に掲げた。新型コロナ対策として「国産ワクチン、国産治療薬の早期開発」などを挙げた。

 野田氏は立候補の理由について「党の多様性を示さなくてはいけない」と説明した。ほかの候補の主張は「日本の未来を担う子ども、女性、高齢者や障害者という社会的弱者、介護政策や貧困の格差など、『小さき者』や『弱き者』をはじめ、人の暮らしが見えない」と指摘した。人口減少は「国家の危機」とし、経済対策、安全保障の問題として扱う考えを示した。

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出陣式で気勢をあげる自民党の野田聖子幹事長代行=2021年9月17日午前9時13分、東京・永田町、池田良撮影

 「『党改革を叫ぶ前に、自民党の力でもっと世の中を良くしてほしい』と願う国民感覚とずれが生じている。まずは反省と検証が必要だ」と主張し、その一例として、議員定数の大幅削減を挙げた。

 政策では、新型コロナ対策が最優先とした。「早期発見、早期治療の徹底が必要」とし、自宅療養ではなく臨時の医療施設で重症化を防ぐとした。感染防止のため経済活動を制限する場合は、「会社員はもちろん、パート、アルバイトなど、すべての働く人に現金の一律給付を行う」と主張した。

 また、子ども主体の政策を成長戦略にし、その司令塔として「子ども庁」を設立する考えを示した。女性の社会進出も加速させるとし、「野田内閣の女性閣僚は全体の半分になるようにめざす」とアピールした。

 さらに「近年、公文書の廃棄、隠蔽(いんぺい)、さらには改ざんという問題が相次いで起こっている」とも指摘した。「公文書は民主主義の根幹。勝手に廃棄されたり、どこかへ消えてしまうというのは非常に由々しき問題だ」との見方を示した。党に公文書の取り扱いの不透明さを解明するチームを設けるとし、「必要に応じて必要な調査をし、しっかりとした政治制度を作る」と述べた。

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自民党総裁室のいす=東京・永田町の自民党本部、上田幸一撮影