真東に進んだ台風14号、異例のルートたどった理由 重なった偶然

竹野内崇宏
【動画】和歌山県美浜町で台風14号の被害=朝日放送テレビ撮影
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 日本を横断した台風14号は、上陸前に日本の西の東シナ海上で4日間も停滞し、その間に勢力が再発達して東に方向を変えるという異例のルートをたどった。背景には、偏西風の蛇行と海面水温の高さがあったと研究者は指摘する。

 7日にフィリピンの東方沖で発生した14号は、太平洋高気圧の西端を時計回りに北上し、台湾や中国・上海の東側に近づきながら13日ごろまでに東シナ海に至った。

 九州大の川村隆一教授(気象学)によると、今年は太平洋高気圧の南西への張り出しが例年より大きく、14号も9月としてはかなり西寄りを進んだ。とはいえ、通常ならここから偏西風に流されて東に向き始める。

 ところが、このタイミングでたまたま偏西風が北側へ蛇行した。東向きの風が弱くなり、しかも北側には移動性の高気圧があったため、14号は頭を抑えつけられる形になって動きが取れず、16日ごろまで4日間も停滞することになった。

 時間ばかりが過ぎ、このまま温帯低気圧に変化してもおかしくなかった。15日の時点では構造も崩れ始めており、中心気圧は996ヘクトパスカルまで弱まった。

 だが、もう一つの偶然がさらに重なった。

 東シナ海の水温が平年より1度ほど高く、14号はエネルギーとなる水蒸気の補給を受け続けることになった。16日には990ヘクトパスカルと再び発達した。

 17日、偏西風の蛇行が変化するのに伴ってついに東へと移動を開始。ほぼ真東に進み、気象庁の記録が残る1951年以降初めて、福岡県に最初に上陸した。その後も愛媛県和歌山県などを通過して列島を横断した。川村さんは「台風を東進させる偏西風の動きは予測が難しい。予想外の蛇行によって東シナ海に北上してきた台風が停滞し、真東に進む特異なコースになった」と話す。(竹野内崇宏)