ジョニー・デップが映画「MINAMATA」で伝えたかったこと

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藤えりか
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映画「MINAMATA―ミナマタ―」から(C)Larry Horricks
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シネマニア経済リポート

 深刻な公害をもたらした企業とその被害を受けた人たちの現実を物語として、約2時間の映画に収めるのは困難な試みだ。それに「外からの目」で挑んだ映画「MINAMATA―ミナマタ―」が23日公開される。製作・主演のジョニー・デップさん(58)とアンドリュー・レビタス監督(44)は、公開に先立ち日本向けに開いたオンライン記者会見で、企業の社会的責任を問う大切さなどを強調した。

 化学メーカーのチッソが熊本県水俣市の工場から海に流した汚染水が原因で広がった水俣病。その現地に1971年から滞在して写真に収め、米ライフ誌を通じて世界に伝えた米国の写真家、故ユージン・スミスを通して、当時の状況を描いたのがこの作品だ。スミス役をデップさんが、彼の報道をカネや暴力をも使って阻もうとするチッソの社長を國村隼さん(65)が、チッソと闘う役を真田広之さん(60)や加瀬亮さん(46)が、重い水俣病の娘を持つ父を浅野忠信さん(47)がそれぞれ演じている。70年代の水俣を再現するため、水俣での撮影は最小限にとどめ、モンテネグロ南西のコトル湾沿いの街ティバトを当時の水俣に見立てて撮影したという。

 デップさんは製作にも加わった。記者会見の冒頭、その理由について「これは作られるべき、日の目を見るべき映画だと思ったからだ。映画の製作自体が簡単ではない今、奇跡と言えると思う」と語った。

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映画「MINAMATA―ミナマタ―」から(C)Larry Horricks

 レビタス監督は撮影に際し、キャストやスタッフの全責任者に、約400ページもの資料やアーカイブ映像などを渡したという。自身は2018年、「真実に触れようと試みるため、また思いを理解するため水俣を訪れ、患者や親族の方々と過ごした」。

 ただ、映画はドキュメンタリーではなく、事実に基づきながら脚色も伴うフィクションだ。その意味や、チッソから物言いはなかったかなどについて筆者が記者会見で聞くと、レビタス監督は「チッソから何も連絡はなかった」と答えたうえで、こう述べた。

 「水俣を、外から来た者の目線で紹介しようと思った。ユージン・スミスの目を借りて、ヒーローと言える水俣の人たちの闘いをとらえた」

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映画「MINAMATA―ミナマタ―」から(C)Larry Horricks

「外からの目」で水俣病を世界に

 実際、負の状況や歴史は「外…

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