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発達障害の子、向き合い続けて66年 サマーキャンプ担う学生たち

鈴木裕
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 発達障害がある子どものサマーキャンプや居場所づくりに取り組むNPO法人「アサヒキャンプ名古屋」(名古屋市熱田区)。66年前から続く活動は学生カウンセラーと、OB・OGがボランティアで支えてきた。コロナ禍の今夏でも成功させた学生カウンセラーたちに思いを聞いた。

 8月10日から2泊3日、岐阜県中津川市の乙女渓谷キャンプ場であった「夏いろキャンプ」。小4~中3の発達障害がある子ども32人がキャンプファイアや川遊び、食事づくりに挑戦した。子どものサポートやキャンプの運営をしたのは、学生カウンセラー32人だ。

 企画を担当するプログラムディレクターは、愛知淑徳大2年の堀田翔偉(しょうい)さんが務めた。「準備は半年前から。テーマづくりなど、毎週1回のミーティングで話し合いながら企画を練った」という。

 今回テーマにしたのは「カタバミの花を咲かせよう」。花言葉「輝く心」から「子ども一人ひとりを理解して、たくさん褒めてあげたいと考えた」。

 仕事の割り振りや配置を担当するマネジメントディレクターは、東海学園大2年の平瀬叶侑子(きょうこ)さんだ。

 子どもたちは男女別に4、5人でグループをつくり、それぞれ学生が2人つく。その周りを16人の学生がサポートする。「だれがどこにいて、どんな仕事をしているのかを把握して動かしていく。天候に左右され、アクシデントもあるので臨機応変が大切」

 例えば川遊び。事前に現場の状況を確認して危険な場所を赤いテープで仕切り、学生を配置して見守る。川で遊ぶ間も、子どもと遊ぶスタッフとは別に全体を見渡して危険を察知する要員も置く。「より安全に、より楽しく子どもたちに過ごしてもらいたい」と平瀬さん。

 全体をまとめる学生代表が、愛知淑徳大3年の佐藤桃花(ももか)さんだ。子どもに学生がほぼマンツーマンでついて見守る。「これまでのキャンプとは勝手が違うことが多く、学生同士の連絡が大切だった」という。NPO事務局長でOBの中久木俊之さん、OGで理事の藤井三弥子さんや看護師ら、キャンプで学生を支えた4人との連絡調整も担当した。

 今回のキャンプで、発達障害がある子どもたちに学生はどう接したのか。

 キャンプ2日目の朝、パニックになった子どもがいた。すぐにグループの学生に加えてスタッフの学生が応援に入り、落ち着くのを見守りながら不安に感じたことを聞き、落ち着かせた。

 「嫌なこと、気にくわないことの原因を探って排除したり、いったん違う方向へ気を向けたり。先輩のアドバイスや自分の経験から対応の引き出しがあって、その子に合った方法を考えている」と堀田さん。

 平瀬さんは「言葉の使い方次第では嫌な気分にさせてしまうこともあった。何が不安なのか、どんなことに興味があるのかを理解することの大切さを学んだ」。佐藤さんは「発達障害=接し方が難しいというイメージがあったが、子どもと遊んでいるうちに障害のことは忘れてしまう。難しく考えないで、相手のことを理解しながら普通に接すればいいと気づいた」と話す。

 3人は、サマーキャンプだけでなく、アサヒキャンプが事務所で開いている発達障害がある子どもの居場所づくりの活動にも参加してきた。

 堀田さんは「アサヒキャンプはたくさん褒めてもらえて、新しい自分に気づけるし自分が好きになる場所」、平瀬さんは「年上のお兄さんお姉さんと関わる機会を持つことは意義があるはず」、佐藤さんは「学生は子どもをあるがままに認めて褒めてくれる。自分がいていい場所と考えてもらえたら」と呼びかけていた。(鈴木裕)

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 〈アサヒキャンプ名古屋〉 1955年に朝日新聞厚生文化事業団内に設立された大学生キャンプカウンセラーのボランティア団体が始まり。2007年、学生OBらがNPO法人を設立し活動を引き継いだ。対象は、小3~中3の発達障害注意欠陥・多動性障害ADHD)、学習障害(LD)、ASD(自閉スペクトラム症)、ダウン症、知的障害、不登校などの子ども。宿泊キャンプ、日帰りキャンプのほか、事務所で子どもと学生が交流する「楽習会」「マイスペース」「マイスペースミニ」を開いている。連絡先は052・908・0623。