コラボ商品1100種、アニメは産業になれたか 「京まふ」の10年

諏訪和仁
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 マンガやアニメの作品紹介やグッズ販売などのイベント「京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)」が18日、京都市左京区のみやこめっせなどで開幕した。2012年から始まり今年で10回目。新型コロナウイルス感染対策により、来場者数を抑えた開催が続くが、新商品や新産業の創出を目指した息の長い取り組みが求められている。(諏訪和仁)

 左京区岡崎地区を中心とした会場では、声優のトークショーや新作の先行上映会などがあり、キャラクターに扮したコスプレイヤーや、グッズを購入するアニメファンの姿があった。感染対策で、みやこめっせの入場者数は3千人までにするなど、各会場で定員を制限し、19日まで開催される。

 京まふでは、伝統産業の担い手たちが手がけたキャラを取り込んだ商品が、多く並ぶのも特徴だ。

 神戸(かんべ)珠数店(京都市下京区)は、京都の通りの名前を和装キャラに擬人化した「お通り男史(だんし)」を取り入れた「御念珠ブレスレット」を作った。神戸(かんべ)伸彰社長は「数珠などの宗教用具は先細ってしまうので、手にしてもらう入り口を増やしたかった」と話し、他のキャラにも広げていくつもりだという。

 宮津市の白糸酒造は初回から参加。ゲーム「鉄拳7」のキャラをラベルに使った日本酒やワインをお披露目した。担当する宮崎美帆本部長は「キャラもので新しい客層を開拓している」と話す。キャラと商品の組み合わせが肝心で、そこがキャラものの難しいところだという。

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 京まふは、2012年に京都市が中心となって始めた。ねらいは、新商品や新産業を生み出すこと。京都の伝統産業と、マンガやアニメ、ゲームのキャラを組み合わせた若者向けの新商品開発や、マンガ家やアニメ制作者の育成支援、雇用機会の創出をめざしてきた。

 マンガのキャラなどの権利を持つ出版社や制作会社と地元企業のマッチングで作られた商品は、扇子や組みひもを使ったキーホルダーなど12~20年で1109種類。毎年平均120種類ほど製作されている。これまでと違う客層に伝統工芸の良さをアピールできる機会になっているという。京都市の担当者は「一度つながりができると、その後も新商品を作っていくので、京まふがいいきっかけになっている」と話す。

 若年層の集客にも役立ってきた。世界有数の観光都市だが、京都観光総合調査によると、京都を訪れる観光客は50歳以上が7割を占める。京まふのコロナ禍以前の来場者数は4万人を超え、7割が20代以下という調査結果もある。

 キャラクターグッズを手がける地元企業の裾野は広がりつつあるが、そのもとになる京都アニメーション(本社・宇治市)や、ゲームメーカーの任天堂(同・京都市)のようなコンテンツを作る会社はごく少ない。企業調査会社の帝国データバンクによると、全国に300社あるアニメ制作会社のうち、9割が東京都にある。

 京まふ実行委員会の委員長で手塚プロダクション(同・東京都)の松谷孝征社長は18日の開幕あいさつで「長い歴史と文化を背景に様々なコンテンツが集まる京都だからこそ、東京とは異なる魅力を持った、京都ならではのイベントとして成長させてほしい」と話した。京都市は、今後さらにコンテンツ産業の育成に力を入れるという。