「国の恥を忘れるな」 柳条湖事件90年、式典に最高指導部メンバー

瀋陽=平井良和
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 満州事変の契機となった柳条湖事件の発生から90年となる18日、事件現場に近い中国・瀋陽市の「九・一八歴史博物館」で記念式典があった。この日に向けて同館の展示室が拡張され、式典には中国共産党の趙楽際(チャオローチー)・政治局常務委員が出席した。党最高指導部メンバーの参加は7年ぶりとみられ、抗日戦争の節目の年を重視する姿勢が示された。

 同館の敷地内では午前9時18分に「国の恥を忘れるな」と書かれた鐘がつかれ、防空警報が鳴り響いた。趙氏が出席したためか、周辺の警備は例年以上に厳しく、早朝から広範囲で立ち入りが禁じられ、追悼などに訪れる市民らは敷地や鐘がまったく見えない位置にまで遠ざけられた。

 式典の報道は抑制的で、国営新華社通信は趙氏の「抗日戦争の勝利が中華民族の深刻な危機から偉大な復興への転換点」「遅れをとれば殴られ、発展こそが自らを強くするということをしっかり記憶しなくてはならない」との発言を伝えた。

 博物館はこの日に向けて展示室が大幅に拡張され、展示物も2千点程度に倍増されたという。市内では今夏から、事件現場付近にあった中国軍の兵営「北大営」の建物の記念館としての修復も進められている。同事件で柳条湖付近の線路を爆破した日本の関東軍が「中国軍のしわざ」として攻め込んだ兵営で、中国ではここでの戦闘が「抗日戦争の始まり」と位置づけられている。

 日本政府が尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化を決めた2012年のこの日には、中国全土の100カ所以上で反日デモが起き、瀋陽市内の日本総領事館は投石で窓が割られた。近年は大きな騒ぎは起きていない。(瀋陽=平井良和)