カナダ、20日に総選挙 過半数狙ったトルドー首相が退陣の可能性も

ニューヨーク=中井大助
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 カナダで20日、下院(定数338)の総選挙が行われる。少数与党で政権運営を続けてきたトルドー首相(自由党)が、下院の過半数獲得を目指して選挙に踏み切ったが、結果的に保守党との接戦になっており、政権が交代する可能性も出ている。

 「いくらかの人が抱いている不満は分かる。日常に戻りたいだけなのに、選挙は日常ではない」

 17日、遊説先でトルドー氏は選挙について不満が広がっていることを認めた。

 トルドー氏は2015年の総選挙で自由党を勝利に導き、首相に就任した。19年の総選挙でも第1党の立場を維持したが、過半数を割り、少数与党の状況が続いてきた。そこで8月中旬、議員の任期満了まで2年余りを残して選挙に打って出た。

 背景には、新型コロナウイルスのワクチン接種率が12歳以上の人口の7割を超え、経済も回復傾向にあることなどがあった。世論調査でも、自由党保守党を大きく引き離していた。

 だが、新型コロナが収束しないなかで、選挙を行うことに対する反発は強く、両党の差は急速に狭まっている。公共放送CBCのまとめによると、現在の世論調査の平均支持率はともに約3割で横一線だ。

 保守党のオトゥール党首は「多額の費用がかかり、不必要な選挙をパンデミックの最中に行っている。これはリーダーシップではなく、個人の都合だ」と、トルドー氏を厳しく批判。また、人工妊娠中絶の権利を認め、炭素税への反対を取りやめるなど、従来の保守党よりも「穏健」な立場を取ることで有権者にアピールをしている。

 ただ、こうした穏健路線は、従来の保守党支持者から反発を受ける可能性もある。そこで注目を受けているのが、保守党を離脱したベルニエ元外相が率いるカナダ人民党だ。移民受け入れの削減や新型コロナワクチンの義務化反対などを訴え、支持率は5%程度に達している。議席獲得はできなくても、選挙結果に影響を与えることはあり得る。

 トロント大のアンドリュー・マクドウガル准教授(カナダ政治)は「トルドー氏にとって、選挙を行うという賭けは裏目に出たといえる。世論調査の数字も変動しており、最後まで誰が勝つか分からない選挙となった」と語る。(ニューヨーク=中井大助