ボクシング引退したつもりない 86歳の現役トレーナーの見果てぬ夢

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屋代良樹
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 現役世代って誰が決めたのか。まだまだやれるし、引退したつもりはない。経験を重ね、伝えたいことがある――。そんな高齢者が増えている。20日は敬老の日

 熊本市中央区の産業道路を走ると、黄色の看板が目に入る。2階建ての建物に年季を感じる。今年で設立62年の「熊本ボクシングジム」だ。

 会長の明地(あけち)俊宣(としのぶ)さん(86)=同市=は、今も現役トレーナーとして後進を指導している。「選手の育成に専念して、気づいたらこの年になった」と笑う。

 1935年生まれ。少年時代は卓球に打ち込み、県内の大会でトップの成績をおさめたという。血気盛んで、体格に関わらず巧みに相手を倒すボクシングに憧れるようになった。

 「強い男になりたい」。15歳で上京し、4年後に都内のジムに入門。持ち前の運動神経で、練習試合で日本ランキング上位のボクサーをKOしたことがあるという。フライ級でプロをめざしたが、20歳で結核を患い断念。それでもボクシングは諦めなかった。約3年間治療して熊本に戻り、ボクシング経験者の2人の兄の協力も得て59年にジムを構えた。

 「うちは九州で最も古いジム」と明地さんは言う。これまで千人以上が門をたたいた。巣立ったランキングボクサーの名がジムに並ぶ。昔の写真を見ながら練習生たちの話をするとき、優しい顔になる。

 今も見果てぬ夢がある。理想とする「華麗なボクシング」の伝承と、明地さんが独自に編み出したという「アームブロック」の普及だ。相手のパンチを腕でかわしながらカウンターを入れる攻防一体の技。卓球の球を打ち返す動きと少し似ている。7年前から、解説動画などをユーチューブで公開している。「アームブロックの強さを理解してもらい、若いボクサーたちに使ってもらいたい」

 80歳を超えてスパーリング…

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