衆院任期満了まで1カ月 北海道小選挙区の構図 1~3区

2021衆院選

芳垣文子 松尾一郎 佐藤亜季
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 10月21日の衆院議員の任期満了まで1カ月。次期衆院選が迫り、北海道内各地では立候補予定者が精力的に準備を進めている。道内12選挙区の構図を4回に分けて紹介する。

道1区

 前回の2017年衆院選では、立憲民主党の道下大樹氏(45)が約1万8千票差で自民党の船橋利実氏(60)との一騎打ちを制して初当選。今回、共産党は候補を立てないとみられ、再び2氏が軸の戦いになりそうだ。1区は札幌市中央区を抱え転勤で住む人も多く、無党派層がカギを握る。

 船橋氏は北見市選出の道議から12年に元衆院議長横路孝弘氏を破り初当選。14年は敗れたが17年は比例復活で返り咲いた。「前回選挙では無党派層をうまく取り込めなかったことが票差につながった」と振り返る。

 菅義偉政権では財務政務官を務め、「実績を訴えて支持拡大を図りたい」と支持者や企業回りなどを続け、新たな支持層の獲得も図る。

 道下氏は横路氏の地盤を引き継いだ。支援者の高齢化が課題だが、その子や孫へ基盤を広げる。若者の支援者グループをつくることで、新たな支持拡大も図っている。

 立憲にとって菅政権の支持率低迷は追い風になっていたが、「有権者の不満は菅首相の退陣表明で収まった感がある。前回同様厳しい戦いになることは間違いない」と気を引き締める。

 新党大地代表の鈴木宗男参院議員が道総支部代表を務める日本維新の会も、独自候補の擁立を探る。(芳垣文子)

道2区

 立憲現職の松木謙公氏(62)に対し、自民新顔で元衆院議員秘書の高橋祐介氏(41)と、維新新顔で元衆院議員秘書の山崎泉氏(48)が挑む構図になりそうだ。

 鶏卵業者からの現金供与疑惑が発覚した元農林水産相の吉川貴盛氏=収賄罪で公判中=の議員辞職に伴い4月に行われた補選では、自民が候補擁立を見送り、野党共闘で共産の支援も受けた松木氏が山崎氏らを破った。わずか約半年後に再び選挙を迎えるが、今回は自民も候補を立て、与野党が対決する。

 自民は今回、公募で選んだ高橋氏を公認する予定だ。高橋氏は朝夕に主要地下鉄の出入り口に立ってビラ配りをし、鈴木直道知事と並んだ2連ポスターを党の掲示板に貼るなどして、保守や無党派層への浸透を図る。

 松木氏は今回も共産などから支援を受け、事実上の野党統一候補になる予定。補選勝利の勢いを持続させたい考えで、新型コロナ緊急事態宣言中はミニ集会や街頭演説を避け、宣伝車が党の政策を訴えている。

 山崎氏は4月の補選の得票数で3位に食い込んだ。その後も街頭に立ち続け、維新の「議員報酬3割削減」などの訴えを前面に出している。

 このほか諸派新顔も立候補を検討している。(松尾一郎)

道3区

 前回3区を制した立憲の荒井聰氏が引退を表明。長男で学校法人役員の荒井優氏(46)が後継候補となった。自民前職の高木宏寿氏(61)、共産新顔の元札幌市議、伊藤理智子氏(60)と、維新新顔の行政書士、小和田康文氏(51)も立候補を予定する。野党共闘で立憲と共産が候補者を一本化するかも注目される。

 自民の高木氏は荒井聰氏との一騎打ちとなった前回、約2万3千票差で敗れた。立憲と共産が共闘体制を組めば「激しい戦いになる」(党支部関係者)と予想。この4年間、支援者や団体をこまめに回り、支持拡大をめざしている。

 立憲新顔の荒井優氏は、ソフトバンクから札幌新陽高校長に転じた。3月まで5年間校長を務め、その経験から「教育をよくすることで、国の未来をつくっていきたい」と主張。若者が夢を持てる教育改革を訴え、支持の浸透をはかる。

 共産の伊藤氏は、街頭や支援者集会などを続ける。野党共闘は「中央や道レベルで決めること」(党道3区選対本部長)とし、支持拡大に努めている。

 維新の小和田氏は前回道2区で立候補し、今回は3区で挑戦。非正規雇用で働いた経験から、格差是正や「再チャレンジできる社会」の実現を訴える。(佐藤亜季)

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