横浜市の米軍跡地、新交通システムは「再検討が必要」 三セク社長

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武井宏之
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 神奈川県横浜市西部の米軍上瀬谷通信施設跡地と相鉄線瀬谷駅付近を結ぶ新交通システム建設をめぐり、市から運行事業者になるよう要請された市の第三セクター「横浜シーサイドライン」の三上章彦社長が朝日新聞の取材に応じた。テーマパーク構想などの跡地利用の具体案が決まらず、事業採算性が見通せないとして、「新交通が必要かどうかも含め、再検討が必要ではないか」と語った。第三セクターのトップが市の施策に異論を唱えるのは異例だ。

 跡地南部では2027年3~9月に、国際園芸博覧会(花博)が開催される。市は花博開幕までに新交通システム「上瀬谷ライン」(仮称)を開業させることを目指し、今年度中に国土交通省に許可(特許)を申請する方針だ。

 市は今月7日、上瀬谷ラインの運行事業者になるよう横浜シーサイドラインに要請した。地下トンネルや専用軌道は市が建設し、車両や駅施設、電気・通信設備、車両基地の整備は同社が負担するとの内容だ。同社の負担額は300億円以上とみられる。市は11月末までの回答を求めている。

 市からの要請について、三上社長は取材に「現時点での市の検討は不十分だ」と懸念を示した。花博後の土地利用が具体性に欠けることが理由のひとつだ。

 「市は跡地に年間1500万人が訪れ、その4~5割を運ぶ公共交通機関として、新交通システムを整備すると説明してきた。だが、市が集客の核とするテーマパーク構想は、まだ事業者も決まっていない。テーマパークの内容も、開業時期も、入場者数の見通しも、根拠があるとは言えない。このままでは、半年間の花博が終わった後、新交通が空気を運ぶことになりかねない」

 また、跡地と相鉄線瀬谷駅付近の2駅だけを結ぶ路線であることにも疑問を呈する。「中間駅がなく、テーマパーク来場者しか利用しない。上瀬谷ラインが生き残れるかはテーマパーク次第になってしまう。そもそもテーマパーク来場者しか利用しない路線が公共事業としてふさわしいのか。通勤や通学、ショッピングやレジャーなど、さまざまな目的をもって利用するのが公共交通機関。上瀬谷の先の延伸計画を具体化し、将来のまちづくり全体を考える視点が必要ではないか。今はテーマパークありきのような雰囲気になっている」

 さらに、花博までの開業目標について「工事が間に合うか、不安を持っている」とも明かした。特許申請は8カ月が目安とされる審査があり、その後も着工には国交省の認可が必要で、完成後も検査や試運転をこなさなければならない。「運行事業者は特許申請時に開業目標を書く。もし間に合わなければ、当社が責任を問われる。だが、市からは具体的なスケジュールを示されていない」

 三上社長は「市は新交通が花博後のまちづくりのために必要だと説明する。であれば、花博までの開業目標にとらわれることなく、まちづくりの中身をじっくり時間をかけて決め、交通手段として新交通が必要かどうかを含め、改めて議論した方がよいのではないか」とも指摘した。

 同社は10月から数回、同社幹部に外部の公認会計士と弁護士が加わった検討会議を開き、市から提供された資料をもとに事業参画の可否を判断する。三上社長は「事業参画した場合のメリット、デメリット、特に当社にとってのリスクをもれなく洗い出し、フラットな議論をして、最終的な判断をしたい」と話した。

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