絶滅カキ、セイウチの仲間 相次ぐ化石の発掘 県立博物館・猪瀬さん

滝口信之
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 絶滅したカキの一種「コンボウガキ」やセイウチなどの仲間「鰭脚類(ききゃくるい)」などの化石発掘が福島県内で相次いでいる。いずれも県立博物館(会津若松市)の主任学芸員、猪瀬弘瑛(ひろあき)さん(38)が発掘に携わった。「化石発掘は宝探し。子どもたちにも楽しさを伝えたい」と話す。

 コンボウガキの化石は2019年、いわき市内の8980万~8630万年前の地層から見つかった。横16メートル、縦30メートルと、これまで見つかったカキの化石よりも約10倍大きかった。昨年には塙町の採掘場の約1千万年前の地層から鰭脚類の化石約40個を発掘した。付近の地層では06年に全長約13メートルのクジラの化石も見つかり、「クジラと鰭脚類が同じ地層から見つかることは珍しい」と語る。

 茨城県出身。小学生の頃から恐竜の図鑑を読んだり、フィギュアで遊んだりしてきた。「恐竜を見て、将来化石の仕事に携わりたいと思っていた」と振り返る。地学を学ぶため、筑波大学へ進学し、本格的に発掘作業を始めた。恐竜の化石が発掘され、大学にも比較的近かった、いわき市内を中心に県内各地で地層が描かれている地図や、地元の人の情報を手がかりに発掘を続けた。

 大学院卒業後、学芸員を募集していた県立博物館に就職。16年には広野町で落葉針葉樹メタセコイアの国内最古の化石を、15~17年には県内最古の可能性がある二枚貝に似た化石を南相馬市鹿島区で発見した。

 「化石発掘作業は8割は目当ての物は見つからない」と猪瀬さんは話す。発掘前にどんな化石が見つかるか予測して掘るが、予想外の化石が見つかることもあり、「化石発掘の魅力」と語る。

 最近、子どもたちに化石の魅力をどのように伝えるべきかを意識し始めた。3年前、北海道の山中でアンモナイトの化石を見つけた際は、「子どもたちに見てもらいたい」と約36キロの化石を背負って下山した。「子どもの頃、恐竜に憧れ、研究者になろうと思った。化石に触れて一人でも多くの子どもに面白さを知ってもらえたら」と話す。(滝口信之)