平和な日常 出くわす驚きはゴジラのように 画家O JUNの新境地

田中ゑれ奈
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 油彩や水彩、クレヨンなどを使い、日常の断片や記号のような形を描く画家O JUN(おうじゅん、1956年東京生まれ)。京都市のギャラリー「VOU/棒」で開催中の個展で、初の試みとなる映像と立体の作品を披露している。

 展覧会の核は、会期中に現場で制作した「ゴジラ∞」。2010年、16年の2度にわたって描いては白く塗り潰すことを繰り返し、過去の作品の痕跡が残る画面に、新たにドローイングを施した。あわせて展示する新作の映像作品「コップの底」は、1954年公開の東宝映画、初代「ゴジラ」の白黒映像を、ガラスのコップ越しにiPhoneで撮影したものだ。

 平和な日常に突如巨大な怪獣が現れるように、「見慣れないものに出くわす」驚きが制作のきっかけになるとO JUN。幼少期から親しんだゴジラはこれまでも、しばしば作品のモチーフとなってきた。今回、ゴジラつながりでジオラマから発想した立体作品「街」では、クレヨンを使った絵画と同じやり方で紙を緻密(ちみつ)に塗り潰し、組み立てて16棟のビル群を作った。

 街のイメージはさらに、91年制作の写真作品「少年の脳」の背景とも呼応している。「こんな形で作品同士が出会うとは思ってもみなかった」と、画家は驚く。

 「作品は縁もゆかりもない時間や空間の中で出会ったり、最初の意味や根拠がご破算になって全く違うものとして登場したりする。タイミングさえ合えば、何度でも再生する」。11年越しのゴジラの絵画は映像や立体と出会い、また新たな物語を生んだ。

 O JUN個展「目 対 絵 Eyes vs Painting」は26日まで、22、23日休み。500円。VOU/棒(075・744・6942)。(田中ゑれ奈)