白球追いかける80歳ボールボーイ カープ選手からは「お父さん」

川本裕司
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 山口県岩国市由宇町笠塚の山中にあるプロ野球広島カープ2軍の本拠地・由宇練習場で、ボールを追う80歳の男性がいる。スタンドでファウルボールを回収するアルバイトの浜辺陸一(りょういち)さん(同市由宇町南4丁目)だ。練習場ができた1993年から球場に足を運び、病気や薬と無縁の元気な生活を続ける。

 8日にあったウエスタン・リーグのオリックス戦に浜辺さんの姿があった。試合中は立ちっぱなし、移動するときは駆け足で、背筋が伸びた体形は若々しい。球団によると、約30人いるアルバイトで浜辺さんは最年長。続くのは60代で、選手からは「お父さん」と呼ばれることもある。この日はファウルボールが7球飛んできた。

 浜辺さんは熊本県生まれ。地元出身の川上哲治・元巨人監督のファンだったが、旧国鉄・広島鉄道管理局に就職しカープを応援するようになった。

 由宇練習場との縁は、所属していた地域の軟式野球チームに募集があったボールボーイに応じたのがきっかけ。2001年、運転士を勤めたJR西日本定年退職してからは本格的に活動し、年間約60戦あるウエスタン・リーグの試合を手伝ってきた。「10年ほど前に右ひざに水がたまった以外、体調にまったく問題なし。コロナ禍で無観客試合なのは寂しいですが、選手に貢献できればうれしい」と浜辺さんは話す。

 暑さが厳しかった今年は熱中症にならないようにという球団側の配慮で、7月下旬からは木陰のある芝生スタンドでのファウルボール回収に専念した。出勤日も減り、今年は約30試合となった。

 浜辺さんは「体が続く限り続けたい。約3千人が球場を訪れる日がまた来れば」と願っている。妻と2人暮らし。週に2、3回の散歩で体調を整える日々を重ねている。(川本裕司)