子宮頸がん予防のHPVワクチン、自治体からの個別通知で接種増える

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後藤一也
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 子宮頸(けい)がんの原因になるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンについて、厚生労働省は昨年、有効性や安全性の情報を、接種対象者に伝えるよう自治体に求めた。同省は積極的に勧めることをやめているが、接種する人は増加に転じている。(後藤一也)

 子宮頸がんは子宮の入り口部分にできる。国内では毎年1万1千人ほどがかかり、約2900人が亡くなっている。検診で早く見つかれば治療できるが、子宮の摘出が必要になることもある。子宮の一部を切る場合は、妊娠したときに早産しやすくなることもある。

 子宮頸がんの90%以上はHPVの感染が原因だ。HPVには感染するとがんになるリスクが高いタイプと、リスクが低いタイプがある。定期接種のワクチンは、がんになりやすい16型と18型の2種類の感染を主に防ぐ効果がある。

自治体からの個別通知 接種者増える

 国は2013年4月、小学6年~高校1年相当(16歳になる年度)を対象に、公費負担の定期接種にした。だが、接種後に体の広範囲が痛む、手足が動かしにくくなるなどの「多様な症状」が報告され、厚労省は同年6月、対象者に接種を勧める積極的勧奨の中止を決めた。厚労省は来月、有識者による審議会を開き、積極的勧奨の再開の是非について議論を始める。

 多様な症状とワクチンとの因果関係ははっきりしていない。起きるのは非常にまれだが、接種による痛みや不安などがきっかけになることは否定できないとされる。一方、効果の高さについては、国内外から報告が集まってきた。

 厚労省は昨年秋、ワクチンの効果や安全性についてまとめたリーフレットを改訂。こうした情報を対象者に提供するように自治体に求めた。

 こうしたこともあり、HPVワクチンの接種数は増えている。3種類あるうちの一つの接種数は16年5~8月の4カ月で約3千回だったのに対し、今年1~3月の3カ月で約9万9千回になった。

 大阪市では、19年度の951回から、20年度は4倍の3782回に増えた。ただ、1人が3回接種するため、接種人数は接種回数より少ない。定期接種の対象者は市内で約5万7千人いて、全体で見れば、接種した人はわずかだ。

自治体独自の助成、コロナで接種期間延長も

 積極的勧奨が控えられ、自治体から情報が提供されずに公費で打つ機会を逃した人もいる。定期接種になっているHPVワクチンを自費で接種すると、医療機関などにもよるが、1回1万6千円ほどかかる。青森県平川市は、高校2年~大学1年相当(19歳になる年度)の女性に、1回あたり上限約1万6千円を助成する制度を今年度に限って設けた。市によると、対象者360人のうち、8月末までに16人が制度を使ったという。

 ワクチンは標準的には中学1年の1年間で3回接種する。3回目は初回から6カ月後になるため、定期接種の最終年度となる高校1年相当の年齢で接種を始める場合は9月中に1回目を接種すると、期間内(翌年3月まで)に3回接種を終わらせられる。

 新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が求められる中、接種のタイミングを逃す人もいる。厚労省は昨年3月、HPVワクチンに限らず定期接種のワクチンについて、相当な理由があると自治体が判断すれば、期間外になっても公費対象としてよいと通知。公費対象の期間を1~2年延ばす自治体がでてきた。

 東京都江東区や港区は、高校1年相当の人だけでなく、すでに期間外になった高校2年相当の人も22年度末まで公費の対象とした。大阪市も、高校2年相当の人を対象に、来年3月末まで期間を延ばし、対象の人には個別に知らせた。

 ただ、自治体の対応はばらばらだ。期間の延長を決めても、個別に知らせていない自治体もある。期間の延長は決めていなくても、コロナの影響で接種できなかったことを主治医に相談すれば、さかのぼって公費負担を認めるところもある。どのような対応かは、それぞれの市区町村に確認する必要がある。

 接種前の体調などを記入する予診票が必要だが、積極的な勧奨が中止されている影響で対象者に届いていないことがある。医療機関に予診票が置いてある自治体もあれば、インターネットや窓口などで申請が必要な自治体もある。

 高校1年相当で9月中に1回目の接種が必要な人がそれまでにうてなかった場合、4カ月で3回接種する選択肢もある。標準的ではないが、ワクチンの添付文書で認められた使い方だ。

■9価ワクチンは定期接種の対…

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