序二段から再起の2人が結びで対戦 大熱戦を包んだ温かい拍手

竹園隆浩
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 大相撲秋場所10日目の21日、新横綱照ノ富士に初めて挑んだ宇良は、大善戦の末に敗れた。

1分半の大善戦

 ともにけがで序二段まで落ち、復活した2人。宇良の照ノ富士への初挑戦は、1分半の大善戦。176センチ、147キロまで増えた体をいっぱいに使い、力を出し切った。

 宇良はいつも通り、最後の塩をつかむ前に右手の指を回しながら作戦を確認した。

 仕切り線から下がった立ち合いは、頭からぶつかった。右を浅く差したらいきなりきめられた。必死に耐え、肩すかしに2度行くが、照ノ富士を崩せない。今度は差し手を抜いて足取りに行った。それでも、192センチ、184キロの横綱には全く通じなかった。

 体が離れると、にらみ合う。再び懐に入って、もう一度肩すかし。足取りも試みた。何とか、動かそうとした。最後は右下手を取ったところで、相手に肩越しの上手を引かれて強烈な投げ。背中を着くまいとまわしにしがみついたが、力尽きた。

 乱れた髪と絶え絶えの息をする挑戦者を、国技館の拍手が包んだ。「全然、かないませんでした。ものすごいパワー。自分が出し切ったというか、全部横綱が受け止めてくれた印象。色々仕掛けさせてもらったが、強いなと思いました」

 上手を取られた時に館内の大きなため息が聞こえたという。「みんなで応援してもらっていること。きょうは特に感じました」

 日馬富士から金星を取った経験はあるが、結びの取組は初めて。土俵を熱くする29歳の奮闘は、ファンの胸に刻まれた。(竹園隆浩)

 ○照ノ富士 「いろいろやってくると思っていたので、落ち着いて見ていこうと。同じけがで序二段まで落ちて、よく2人で結びで取れた。よかったんじゃあないですか」

 ○阿武咲 10日目で勝ち越し。1差で新横綱を追う。「土俵上で無駄な力が入らず集中できている。それが、しっかりした足の運びにつながっている」

貴景勝は4連勝で復調

 大関貴景勝が関脇明生の挑戦をはねかえし、4連勝。首のけがの影響が心配されるなか、少しずつ調子を上げている。

 この日も、頭でぶつかる立ち合い。押し込まれはしたが、そこから正面にとらえて攻め返した。明生の横の動きに乗じて前進すると、相手を土俵下へ転がすまで押しきった。

 勝負を見届けた錦戸審判長(元関脇水戸泉)は「気合しかない。当たりも弱かったし、気力だけという感じじゃないでしょうか」。

 たしかに絶好調時と比べれば、立ち合いの馬力不足は否めない。それでも、突き押しのリズムや足腰の安定感は戻ってきている。

 カド番脱出まで、あと2勝。「また明日から良い相撲を取れるように、準備しようと思ってます」。関脇以上との対戦が残る終盤。正念場の取組が続く。