癒やしの「こけ玉」ひそかな人気 逆風下で攻めるボールパークの戦略

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吉備彩日
【動画】全国でも珍しいこけ専門施設「奥入瀬モスボールパーク」=吉備彩日撮影
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 手軽な園芸品としてひそかに人気を集める「こけ玉」。緑の小さな形に癒やしを求める人も多く、各地で手作り教室も開かれている。そんなこけ玉の魅力を青森の大自然から発信してきた「奥入瀬モスボール工房」がコロナ禍で逆風が吹く中、あえて攻めに転じ、用地を20倍に広げて「奥入瀬モスボールパーク」として大きく構え直した。

 こけに覆われた岩の間を清流が流れる景観が人気の奥入瀬渓流(青森県十和田市)。温泉郷の一角に建てられた屋根付きテラスには、深緑色のこけ玉がじゅうたんのように広がっていた。広々とした空間はこけ玉のカーテンで仕切られ、こけ玉作りが体験できるようになっている。主宰者の起田高志さん(40)は「新しい生活様式に対応して、誰でも開放的に楽しめるようにしました」とリニューアルの意図を語る。

 アメフトで活躍し、社会人からプロレスラーに転向した経歴をもつ。2011年にケガで引退後、古里の十和田市に帰郷した。もともとプロレスの厳しい練習や試合の後、趣味だったこけ玉の世話で和んでいたが、こけ玉が、こけの上に樹木が育つ奥入瀬の景観に通ずると気づき、「こけ玉を通してみんなに喜んでもらいたい」と12年、制作体験ができる「モスボール工房」を開業した。こけ玉の専門施設で、全国的にも珍しいという。

 ちょうど奥入瀬の豊かなこけが観光資源として注目され始めた頃で、工房は次第に、奥入瀬で過ごした思い出を手元に残そうと多くの人が訪れるスポットとなった。当時は渓流近くの施設内にあり、客はこけ玉作りの最中、所狭しと身を寄せ、にぎやかな光景だった。植物の検疫上、自国に持ち帰れない海外客も「思い出に」とこけ玉作りに精を出すほどだった。

 しかし、コロナ禍で状況は一変した。

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