東電「リスク認識の甘さ」認める 柏崎刈羽原発テロ対策不備で報告書

藤波優、川村剛志
[PR]

 東京電力は22日、柏崎刈羽原発7号機(新潟県)でテロ対策の不備が相次いだ問題で、原因や再発防止策をまとめた報告書を原子力規制委員会に提出した。外部からの侵入検知設備の故障を代替措置で済ませていたことに対し、現場から疑問視する声が上がったが、対策を講じずに放置するなど、東電の安全軽視の姿勢が再び浮き彫りになった。

 東電によると、同原発では外部からの不正入室を検知する設備の故障が相次ぎ、約10カ所で30日以上機能しない状態が続いた。東電は代わりにカメラで監視していたが、規制委の抜き打ち検査で不十分だったことが判明。社員が同僚のIDカードを使って中央制御室に不正に入室していたことも明らかになった。

現場からの声を放置

 報告書は、「代替措置を行っていれば、速やかに設備復旧しなくても良い」という考えが現場の大勢だったと指摘。本来は担当社員が監視に専念すべきだったが、実際は1人が複数のモニターを監視し、ほかの業務に当たるなど常時監視できていなかった。現場の社員から「設備を早く修理してほしい」との声も上がったが、速やかに対応しなかった。また、電力会社の会合で不十分な代替措置が問題になったが、担当者が上層部に伝えず、部門内にとどめていたという。

 報告書は、共通する原因として①核物質防護に関するリスク認識の甘さ②上層部が現場実態を把握していない③組織の是正する力が弱かった、ことを挙げた。

 東電は同日、7号機内に設置された火災感知器のうち約100台が法令で定める設置基準を満たしていないことも発表した。配管まわりの浸水防護工事で新たに5カ所の未完了が見つかり、工事未完了は計94カ所になったことも明らかにした。引き続き点検を続けるという。

 一連の問題の経営管理責任を問い、小早川智明社長と、原子力部門を統括する牧野茂徳・常務執行役を減俸30%(3カ月)とした。また、牧野常務の原子力・立地本部長の職を解き、柏崎刈羽原発の石井武生所長を更迭する人事と原子力部門の新潟への移転も発表した。

 規制委は今年4月、テロ対策不備を受けて同原発に核燃料の移動を禁止する命令を発令。東電がめざす再稼働は凍結された状態になっている。規制委は今後、数カ月間かけて検査を行い、再発防止策を確認する。2022年春ごろにも命令の解除について判断することになる。藤波優、川村剛志)