米中、気候変動問題では歩み寄り 石炭火力、外堀埋められた中国は

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北京=冨名腰隆 合田禄=ワシントン、香取啓介 長崎潤一郎、川田俊男
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 中国の習近平(シーチンピン)国家主席が、石炭火力発電の新たな輸出をやめると表明した。対立が続く米中両国が気候変動問題で歩み寄った形で、さらなる温室効果ガス削減効果が期待される。10月末に国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を控え、日本の対応も問われている。

 「気候変動に積極的に対応し、人と自然の生命共同体を築く」。習氏は21日の国連総会一般演説で、温室効果ガス削減に取り組む姿勢を強調した。演説を受けて、中国外務省の趙立堅副報道局長は22日の定例会見で「クリーンで健全な発展の実現を世界に呼びかけた。国際協力の目標や原則、重点分野を明確にしている」と評価した。

 フィンランドの研究機関によると、中国はここ10年、国外の石炭火力発電事業の最大投資国だ。特に2015年~17年に発展途上国への投資が急増。気候変動への関心が高まる中で近年は減少傾向にあったが、このタイミングで輸出停止を打ち出した背景には、米国の求めがあった。

 バイデン政権で気候変動問題を担当するジョン・ケリー大統領特使は8月下旬に訪中し、10月末に始まるCOP26に向けて、石炭火力発電輸出の停止を中国側に求めた。中国は即答を控えたが、習氏は今月10日にバイデン大統領との電話協議に臨み「互いの関心を尊重し、意見の相違を管理すればプラスの結果が得られる」と言及。米国の意向に沿うよう前向きに検討を進めた模様だ。

 政策ごとに対中姿勢を「競争、協力、対抗」と使い分けるバイデン政権に対し、習指導部は経済や軍事も含めた包括的な対話メカニズムの構築を求めてきた。米国は戦略を変更していないが、その中国が気候変動問題のみに歩み寄りを見せたのは、国内政治が敏感な時期に入りつつあるという事情もある。

 中国外交筋によると、習氏は共産党100周年の式典を終えた7月下旬から、対米外交に再び注力するようになった。国内最重要の政治日程である5年に1度の党大会を来年秋に控え、米中関係を「コントロール可能な状況に置くこと」を重視しているという。外交筋は「外交の安定を優先した結果だ。核心的問題での譲歩はしないが、協力可能な分野では米国との対話を進めることになる」と語る。(北京=冨名腰隆

輸出の大半が中国と日韓

 「この件について、かなり長…

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