盗撮は「スケベ心」ではない 罪悪感なき犯罪にはまる男性の共通点

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聞き手=朝日新聞アピタル編集長・岡崎明子
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 盗撮は刑法で罰せられないこともあり、「ちょっとしたスケベ心」が起こす軽い犯罪と捉える人も多い。だが東京五輪をきっかけとする女性アスリートの性的画像盗撮事件の摘発や、条例ではなく刑法で罰するかどうかの議論が始まるなど、社会の見方は変わりつつある。

 長年、性犯罪加害者の治療にあたってきた精神保健福祉士社会福祉士の斉藤章佳さんは、盗撮加害者は「四大卒で既婚のサラリーマンが多い」と指摘する。なぜ彼らは、盗撮の沼にはまってしまうのか。

 ――被害を受けても気づきにくいのが盗撮です。

 「警察庁の統計によると、2019年に迷惑防止条例などで検挙された件数は3953件と、10年前に比べて倍増しました。でも被害に気づかない例が多いので、痴漢に比べても表に出てこない『暗数』が多い犯罪です。実態はこんなもんじゃないでしょう」

 ――どういう状況で盗撮するのですか。

 「盗撮加害者は事前に見つかりにくい場所をリサーチし、注意深く周囲をうかがってから実行します。駅構内の階段やエスカレーター、トイレ、駅のホームなどが多いですね。トイレは洋式よりも和式が狙われることは、みなさん、もっと知っておいた方がいいと思います」

 ――なぜ盗撮という行為にひかれるのでしょう。

 「一言でいうと、『俺はお前のことを知っているけど、お前は俺のことを知らない』という、ゆがんだ優越感です。まるで、クラスで好きな女の子の日記を盗み見しているような感覚です」

 ――となると、知り合いを盗撮することはない、と。

 「顔見知りの関係の中での盗撮は少数派です。彼らにとって、盗撮対象者は『人』ではなく『モノ』、あるいはスマホの画面に映る『データ』なので、顔見知りかどうかはそれほど重要ではありません。従って目の前に2人の女性がいた場合、容姿の好みで選ぶのではなく、反射的に盗撮しやすい方を選びます」

 盗撮の加害者は、行為自体に罪悪感は感じないと言います。記事の後半では、盗撮にはまる人とはまらない人の違いや、盗撮をやめるための具体的な方法について解説します。

 ――盗撮を始めるきっかけは?

 「治療のため2006年5月…

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