目撃者の叫び声、川に沈む車 サーフボードを抱えて飛び出した

榊原織和
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 島根県隠岐の島町で今月上旬、車が川に転落する事故があり、現場近くに住む男性2人が水没した車の中から、運転していた高齢男性を助け出した。「無我夢中だった」というが、それぞれ機転を利かせ、所有する小型船とサーフボードで素早く現場に駆けつけたことが、救助成功の一因になった。

 救助したのは、県職員の佐々木雄基さん(35)と建具店経営の畑尾恵三さん(62)。

 事故は4日午前8時50分ごろ、隠岐の島町西町のパチンコ店の駐車場であり、70歳の男性が運転する軽乗用車がフェンスを突き破り、川に落ちた。

 家に戻る途中だった佐々木さんは、転落を見た人が叫ぶ声を聞いた。川を見ると、今にも車が沈みかけている。急いで自宅に入ると、趣味のサーフィンで使うウェットスーツに着替え、川に落ちた人が何かつかまれる物をとサーフボードを抱えて飛び出した。

 川に飛び込み、サーフボードをかいて車に近づいたが、車はほぼ全体が沈み、天井が見えるだけの状況に。その時、小型船で車に近づいてきたのが畑尾さんだった。

 佐々木さんは畑尾さんが持っていた金づちを借り、車の窓をたたいたが割れない。水中眼鏡も借りて人の姿を探したが、運転席や助手席には見えなかった。運転席の開いた窓から体を入れ、後部のスライドドアのロックを解除してドアを開けた。車内は暗くてほとんど見えなかったが、手探りで捜索すると後部座席に人がいるのがわかった。すぐに畑尾さんや駆けつけた警察官に伝え、数人がかりで高齢男性を水中から引き揚げた。

 「無我夢中。助かってほしいと思っていた」と佐々木さん。高齢男性は救助されたとき意識がなく、今も入院中だが、快復の方向に向かっていると聞いたという。

 隠岐の島署は16日、2人に人命救助で感謝状を贈った。大国智之次長は「2人が危険を顧みず、素早く行動してくれたことで貴重な命が助かった。感謝しています」と話した。(榊原織和)