取組重ね、戻った力強さ カド番の大関貴景勝、尻上がり復調で5連勝

松本龍三郎
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 大相撲秋場所(東京・国技館)は11日目の22日、カド番の大関貴景勝が連勝を5に伸ばし、勝ち越しまであと1勝とした。

 立ち合いは頭と頭でぶつかった。次の瞬間、先に腕を伸ばしていたのは貴景勝だった。

 阿武咲との一番。反応良く右、左とのどわで押し込む。タイミング良くはたき、1秒5で土俵にはわせた。勝負を見届けた高田川審判長(元関脇安芸乃島)は、こう分析した。「当たってからのはたきだったが、(場所の)前半と比べて当たりの威力が違う。だから、はたきが決まる」

 貴景勝は4日目で初勝利を手にする苦しいスタートだった。それでも、4番を残し、勝ち越しに王手をかけた。現行のカド番制度になった1969年名古屋場所以降、初日から3連敗した後にカド番を脱した大関は一人もいない。

 3敗目を喫した日、「今の体で土俵に立ち続けたところで、突破口が見つかるとは思えない」と私は書いた。その見立ては間違っていたようだ。

 7月の名古屋場所は首のけがで3日目から休場し、今場所に向けて稽古を再開したのは8月末。実戦から2カ月近く遠ざかり、初日時点で稽古不足は否めなかった。それでも本場所で取組を重ねるうち、押しの強さやいなしのリズムが戻ってきた。

 5連勝で勢いはあるが、すでに4敗。賜杯(しはい)レースに加わるのは厳しいだろう。順当なら13日目以降に大関、横綱と対戦する。カド番脱出にとどまらず、終盤でこそ、看板力士の存在感を示してもらいたい。(松本龍三郎)