在任最長となるのに憂鬱な黒田総裁 日銀を覆う三つの試練

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編集委員・原真人
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 日本銀行金融政策決定会合(年8回開催、メンバーは総裁以下9人)で大規模な金融緩和の維持を決めた22日、定例記者会見に臨んだ黒田東彦総裁はあまり浮かない表情に見えた。おりしも黒田総裁の在任期間(2013年3月就任)が8年半となり、9月29日には歴代最長となる。そんな栄えあるタイミングであったにもかかわらずである。

 これまで最も長い在任記録をもっていた一万田尚登総裁(1946年6月~54年12月)は金融界に長く君臨し「法王」の異名をとった大総裁だ。そこに肩を並べ、さらに任期いっぱいまで務めれば10年超という空前の長期在任になる。にもかかわらず、黒田総裁はそのことに関する質問に直接答えようとはしなかった。多少は高揚した感じのコメントもあると予想していた私には少々意外だった。

 逆に、この日の黒田総裁は妙に言い訳じみた説明が多かった。たとえば、現在のような量的緩和マイナス金利、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)といった大規模な緩和策が、どれほど効果があったかを分析した日銀の政策点検の結果を持ち出し、「そうしていなかったら経済成長率も物価上昇率もさらに低く、雇用もこれほど拡大していなかった。(日銀の大規模緩和は)正しかったということだと思います」と自賛した。

 とはいえ、「点検」は日銀の政策を日銀みずから正当だと主張するためにおこなったものだ。当然お手盛りの内容である。それを根拠に「正しかった」と説明されても説得力はない。

 総裁の言い訳じみた説明は、残り任期1年半の間に直面するかもしれない「試練」のことで気が気でなくなっているせいかもしれない。

 黒田総裁はいま三つの問題に…

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