「愛」と「正義」をベースに政治を語ろう 予算見直しで変わる未来

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聞き手・伊木緑
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 「未来は若者たちのもの。国家予算の数%だけ配分先を変えれば、未来は変えられる」――。慶応大教授の安宅和人さんが昨年出版した著書「シン・ニホン」で提言した未来図が少しずつ具現化しようとしている。予算配分の仕方を変えることが「未来への愛」だと語る安宅さんに、その道筋のつけ方を聞いた。

 ――著書などを通じて、「高齢者の医療費など社会保障費支出をデータに基づいて戦略的に効率化し、国家全体の予算的リソースの数%を科学技術振興や教育など『未来への投資』に割り振るべきだ」と提唱されてきました。それが実り、このほど10兆円規模を目指す「大学ファンド(基金)」の設立が決まり、今年度は4・5兆円の予算が組まれました。

 これまで、財務省の主計官・局長以上の幹部、様々な政治家、それ以外の人も含め、正しく理解してくれそうな人にコツコツ説明し、少しずつ前に進めてきました。これは若者がやるような仕事ではありません。僕らみたいなおじさん、おばさんの仕事。意思決定層になんとかリーチできる人がすべきことだと思っています。

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安宅和人さんは、10月17~21日にオンラインで開催される朝日地球会議に登壇します。参加費は無料。事前登録が必要です。

 幸い、こうした「未来にリソースを」というビジョンについて、政府の中の誰からも反対を受けたことはありません。みんな「その通りだ」と。ただ、長らく「ない袖は振れない」と言われてきました。

 ――基金設立が決まるまでの意思決定のスピードはいかがでしたか。

 想像以上に速かったです。正直、10年、20年かかると思っていました。これほど速く進んだのは新型コロナの影響と与党リーダー層の志があると思います。

 政府の経済対策として国民1人10万円、計約12兆円を「特別定額給付金」として配りましたが、本当なら弱い人にのみ手厚く配ればよかったのですが、多くのお金が日本の未来に必ずしも寄与しない形で配られました。やらざるを得なかったとはいえ、他のやり方はなかったのかと考えられている政府の方々は多い。

 そうでなくても財務省の皆さんは長年、社会保障費が毎年際限なく増えていくのを食い止められないことに、心を痛めてきた。それでも生存権を定めた憲法25条があるために、社会保障費を削ることは難しいとされてきました。

安宅さんは、予算を「未来」に関わる分野に振り分けることを「未来への愛」と表現しています。記事後半ではその真意などについて伺っています。

 鍵になるのは「民意」です。社会保障費の削減に対する反発が強いという空気感。国民自ら未来をつぶしているようなものです。

 私が配分の仕方を変えようと…

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