いきもの目線:世界最大の鳥ダチョウ ひなも卵も巨大、鶏卵25個分

竹谷俊之
【360度動画】いきもの目線/ダチョウのひな@ダチョウ王国=2021年9月16日、竹谷俊之撮影
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 長い首、長い脚、大きな羽――。今回の「いきもの目線」の主人公は、世界最大の鳥類のダチョウだ。卵も巨大で鶏卵25個分、生まれてきたヒナの体重はなんと1キロもある。数百羽を飼育している観光牧場「ダチョウ王国」(茨城県石岡市)の協力を得て、生後10日のひな5羽を360度動画で撮影した。

 草食性のダチョウはアフリカのサバンナや砂漠に生息。雌雄や年齢を問わず群れで生活する。空は飛べないが、二足歩行の陸上生物の中では世界最速で、時速60~70キロで走ることができる。時速40キロなら2時間は走り続けることができるという。視力も良く、40メートル先のアリの動きを見分けることができるという。

 雄の羽の色は黒く、雌は褐色。繁殖期になると雄のくちばしと足のスネがピンク色になる。種類や個体差はあるが、脚先から頭までの高さは約2~2.5メートル、体重は100~180キロある大きな鳥だ。

 「ダチョウは警戒心が強く臆病な性格ですが、好奇心が旺盛で人懐っこいです」と牧場長の笹尾昌さん。飼育場に到着すると、ダチョウたちが近寄ってきた。長いまつ毛にクリクリした大きな瞳があり、チャーミングな顔付きをしている。スマホで写真を撮ろうと構えた瞬間、高さ約1.5メートルの柵の上から長い首が出てきてスマホを「パクッ」。危うくスマホを持って行かれそうになった。歯がないので、かまれても痛くはないそうだが、想像以上の迫力で、思わずのけぞってしまった。

【動画】ダチョウ王国の牧場長がダチョウを解説=竹谷俊之撮影

 笹尾さんがひなを運んできた。毛色はまだら模様で、たわしのようなゴワゴワした触り心地だ。ひなは約1キログラムで孵化(ふか)し、1年で成鳥と同じくらいの大きさになるという。

 飼育場の中に入り、事前に準備してもらった3メートル四方の鉄柵の中でひなを撮影した。成鳥が首を伸ばしても届かない距離に直径約70センチの円形の柵を用意した。ダチョウたちは見慣れない柵を警戒しているのか様子をうかがっている。ひなも不安なのか「キュルルルル」と鳴いている。

 「ダチョウには声帯が無いので、鳴き声はありません」と笹尾さん。確かに、飼育場は静かで、背後に近づかれても気配が分からなかった。雄は強さをアピールするために、長い首を膨らませて「ボーボー」と低い音を鳴らすことがあるという。ひなは寂しいときや、何かを求めているときに、のどを鳴らす。威嚇したり求愛行動したりする時は、ひざ立ちの体勢で長い首をくねくねさせながら羽を大きく広げて踊りだすという。

 ダチョウの卵を見せてもらった。約1.5~2キロの重さがある。卵の殻は厚みが約2ミリで、成人男性が乗っても割れないほど丈夫だという。日本では春から秋にかけて産卵期になり、1年間で40~50個の卵を産むという。しかし、多湿で雨の多い日本での自然孵化(ふか)は難しく、同牧場では孵卵(ふらん)器を使っているという。

 ダチョウの羽根は、他の鳥類と異なり、羽軸を中心に左右対称な形をしているため、古代エジプトでは「正義と真実の象徴」として、高級品だったという。日本でも宝塚歌劇団トップスターが着用する羽根飾りに使われている。

 また、ダチョウの皮はバックや靴などに仕立てられ、羽根は静電気を帯びない特性からOA機器の清掃用ブラシなどの需要があるという。ダチョウは他の家畜と比べると臭いがきつくないうえ、暑さや寒さに強くて飼育しやすいこともあり、畜産業でも注目されている。(竹谷俊之)