音大卒59歳、社長と打楽器指導の二刀流 経営と音楽、感じた共通点

垣花昌弘
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 会社の社長を務める傍ら、小中高校で打楽器の演奏指導に励む女性がいる。山口県周南市の三浦運輸社長、三浦眞美さん(59)。音大卒という異色の経歴で父の会社を継ぎ、経営トップとして約90人の従業員を率いる一方、音楽の才能を見込まれて10校以上で打楽器を教える「二刀流」。県内の吹奏楽部のレベルアップに貢献している。

 下松市立花岡小の体育館で11日にあった吹奏楽部の打楽器のパート練習。「やさしく流れる感じで」。三浦さんはマリンバ担当の児童に声をかけ、自分で音板をたたいてみせた。

 花岡小は10月の全日本小学生バンドフェスティバル中国大会に出場する。鉄琴や木琴など大会当日の打楽器の配置を確認しながら練習に臨んだ。顧問の有田大祐教諭(45)は「わかりやすく教えていて指導の参考になる。子どもたちが打楽器を好きになっていくのを感じます」と語る。

 幼い頃から音楽教室で打楽器に親しみ、中学時代は吹奏楽部に所属。高校時代は軽音楽部で活動した。「打楽器を極めたい」と武蔵野音楽大に進学して打楽器を専攻し、卒業後はオーケストラやミュージカルで演奏するなど、フリーの音楽家として活動した。

 三浦運輸が東京に支店を出したのを機に家業に携わるようになり、31歳で帰郷。出産を機に演奏から遠ざかったが、知人の勧めで再開すると演奏や指導の依頼が舞い込むようになった。障害のある自分の息子が通う総合支援学校で演奏したことも。社長就任前は20以上の学校で打楽器を教え、全日本吹奏楽コンクール全日本アンサンブルコンテストで全国大会や中国大会出場に寄与した。

 三浦運輸は1966年創業。小さい頃から会社のトラックに囲まれて育ったという。入社後は総務関係の仕事に就いたが、フォークリフトや大型自動車の免許、運行管理者、第1種衛生管理者、危険物取扱者乙種第4類の資格を取った。

 4代目社長に就いたのは2018年4月。父の代に学習塾のフランチャイズ経営を始め、経営の多角化に取り組んでいたが、今年7月には72種類の世界のコーヒー豆を注文に応じて焙煎(ばいせん)する「周防コーヒーファクトリー」を市内の月丘町に開店させた。女性ドライバーの養成にも熱心で、「女性が活躍できる場をもっとつくりたい」と話す。

 音楽と経営の共通点は調和だという。「一人ひとりが楽譜通りに演奏しても、いい演奏にはならない。息を合わせたり、アイコンタクトをしたりして一つになる必要がある。企業でもいろんな人をまとめていかないといけない。そこが音楽と似ているなと思います」(垣花昌弘)