「女性議会」に高校生参加、町と真剣勝負 熊本・小国町

城戸康秀
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 熊本県小国町でこの夏、高校生を含む女性18人が一日議員となった「女性議会」が初めて開かれた。模擬議会ながら質問内容は当局に事前通告され、町長ら執行部と真剣勝負を展開。その議事録は13日に町のホームページで公開され、9月定例会では女性議員が一般質問で女性たちの政治参加にエールを送った。

議場で一般質問

 町議会事務局によると、これまで「こども議会」は数回開催されたことはあるが、女性議会は初めて。渡辺誠次町長の打診を受け、議会側は昨年末から人権啓発・男女共同参画特別委員会で検討を重ねた。全国的にも開催例が少ない中、東北などの実施例を調べて実現にこぎつけた。

 18人の議員は町広報紙などで公募。町内女性団体のメンバー8人のほか、地元小国高校の2年生10人が手を挙げ、それぞれ関心のあるテーマで、町政にかかわる質問を練り上げた。これに対し、執行部側は渡辺町長や教育長をはじめ、各課の課長や女性係長2人も加わって、町議会の一般質問と同様の答弁態勢をとった。

 招集は7月25日の日曜日。論戦は午後1時過ぎの開会から休憩をはさみながら3時間40分を超え、女性議員からの質問や提言はさまざまだった。

 歩道整備や空き家対策など暮らしの安全に関わる問題や、町から各種団体に出ている補助金の算定基準など基本的な仕組みに関わる質問もあれば、廃校跡地の施設活用や、新たにできた町民センターに調理室がつくられなかった理由をただすなど、身近な問題が次々に取り上げられた。

将来かかわる問題も

 高校生10人は2人一組で質問。高齢化が進む中、地域の特産品を守るため、自分たち高校生にできることはないか。観光客誘致のため外国人向けパンフをつくりたいが助言をもらえないか――など、生徒たちは町当局に連係を求めた。

 さらにSDGs(持続可能な開発目標)を巡って内閣府の「未来都市」に選ばれている町として、ジェンダー平等の実現にどう取り組んでいるのかなど、自分たちの将来にかかわる問題も取り上げた。

 ある生徒は、小国公立病院について行った保護者アンケートをもとに「待ち時間が非常に長い」「患者の個人情報が大声でやりとりされている」「駐車場の便利な場所には病院関係者が駐車している」などと厳しく指摘。渡辺町長は「公立病院と町とタッグを組んで病院の環境を改善して町民の医療を守りたい」と、アンケート内容をしっかり受け止める姿勢を強調した。

 生徒会長の河津咲瑶(さよ)さん(16)は、若者が町外に出ていく問題を取り上げた。卒業後は地元に残って南小国町を含めた小国郷にかかわる仕事に携わりたいと思っている。「自分の将来を考えるうえでも貴重な経験になった。みんなで、いろんなことについて女性の目線、高校生の目線で言えたこともよかった」という。

女性町議からエール

 現在、町議10人のうち女性は2人。2019年に初当選した西田直美議員は、16日の一般質問で女性議会開催をたたえ、質問をフォローする形で当局の対応を追及した。「保守的で男の人を立てるという意識が非常に強い地域にあって、女性たちが自ら声を発する機会を得たことは非常に意義深かった」という。

 今回の「高校生議員」10人のうち9人は小国中学校1、2年の時、非常勤講師だった西田議員から英語を学んだという。教え子たちのチャレンジは「びっくりしたけれど本当にうれしかった」。英語を教えながら、生徒たちには社会参加や政治参加の必要性を説いてきた。

 「若い人が選挙に行かなければ若い人のための仕組みはできない」「何かおかしいと思ったら、なぜなのか、どうすればいいのかを考えなさい」。言い続けてきたことが、生徒たちの質問に表れていたように感じたという。

 女性議会の開催を議会側に提起した渡辺町長は「女性議会は女性だけのためではなく、町全体をよくしていくことにつながる。定例化して最低でも年に1回開催してもらえれば」と話していた。(城戸康秀)