銭湯、子どもの混浴は何歳まで? 年齢引き下げに揺れる自治体と業界

津布楽洋一、池田拓哉
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 銭湯など公衆浴場での子どもの混浴は、何歳から制限されるべきなのか。この年齢を見直す動きが全国の自治体で出ている。栃木県は、現行の「12歳以上」から「7歳以上」に引き下げる条例改正案を9月県議会に提出した。現場では歓迎と困惑の声が交錯している。

 公衆浴場での混浴を制限する年齢は、条例で定める自治体が多い。一般財団法人地方自治研究機構によると、条例で年齢を規定している都道府県は、今年1月現在で38都道府県。このうち年齢基準が最も低いのは京都府の「7歳以上」。最も高いのは栃木、岩手、山形、岐阜各県の「12歳以上」となっている。

 現在、条例を改正し、この基準を見直す動きが各地で出ている。きっかけは昨年12月、厚生労働省から都道府県などに出された混浴制限年齢に関する通知だ。

 通知では、それまで「おおむね10歳以上の男女を混浴させないこと」としていた制限年齢を「おおむね7歳以上」に改正した。厚労省は、公衆浴場での混浴年齢に関する研究結果などを踏まえ、改正したとしている。この研究では、子どもが混浴を恥ずかしいと思い始める年齢は6、7歳が多いとの調査結果も出ているという。

 この通知を受け、条例改正案をまとめた栃木では、9月県議会で改正案が可決されれば、来年1月施行となる。山形、岐阜両県でも改正に向けた動きがあるほか、岩手県も見直すかどうかを検討中という。

安全のため… 困惑する事業者

 子どもの混浴制限年齢を引き下げる動きについて、公衆浴場を営む事業者は複雑な表情も見せる。

 「困りましたね」

 宇都宮市の健康ランド「ザ・グランドスパ南大門」の責任者は、そうつぶやいた。同店では原則、身長130センチまでの子どもは混浴ができる。安全のために、小学2年生ぐらいまでは親と一緒に入浴するのが望ましいと考えるためだ。

 同店では、父親が娘と、母親が息子と来館するケースも多いという。条例が改まれば、7歳になった小学1年生は混浴を制止する対象となる。

 浴場内には温水プールもある。「小学校低学年の子が、親の目の届かないところで床で転んだりプールで溺れたりする事故が起きないか不安。でも、入館を断るのも申し訳ない」

 宇都宮市内のあるスーパー銭湯は、身長120センチ以上の子どもの混浴を断っている。同店の責任者は「正直、混浴の制限年齢が高いと思っていた」と話し、条例改正を歓迎する。

 同市内のスーパー銭湯「宝木之湯」では、8歳以上または身長120センチ以上の子どもの混浴を遠慮してもらっている。このため、条例改正による影響は小さいと考えている。

 同市内の銭湯「宝湯」では、すでに昨年末から7歳以上の混浴を制限。厚労省が混浴を制限する年齢の目安を「7歳以上」に引き下げる通知を都道府県に出したタイミングに合わせた。

 銭湯でも、時代とともに子どもの姿が少なくなったが、大人たちが声をかけてかわいがり、マナーを教えているという。男の子連れのお母さんから「別々に入浴するのは心配」と言われることもあったというが、店主の稲垣佐一さんは「親離れのいい機会ですよ」と話した。(津布楽洋一、池田拓哉)