北斗星の元食堂車再生と障害者の雇用確保をCFで 川口

堤恭太
[PR]

 上野~札幌駅間を30年近くにわたって駆け抜けたJRの寝台特急「北斗星」の食堂車が、埼玉県川口市戸塚3丁目で「ベーカリーレストラン グランシャリオ」として余生を過ごしている。障害者の働く場でもあったが、老朽化で痛みが激しく維持が難しくなってきた。コロナ禍で食堂経営が難しいこの時期。クラウドファンディング(CF)で資金調達を始めた。

 北斗星は1988年に運行が始まり、日本初の豪華寝台特急として人気があったが、老朽化や北海道新幹線開通で惜しまれつつ2015年に廃止された。食堂車は仏語で北斗七星を意味する「グランシャリオ」。フランス料理のコースも堪能できる「走るレストラン」だった。

 この食堂車を川口市で建築不動産、飲食業に加えて福祉事業も手がけるピュアホームズグループのPYC社が買い取り、16年5月にレストランとしてオープンさせた。

 照明やカーテン、テーブルなどはそのまま。エアコンを外付けした程度で当時の状態を残した。当初は「鉄道ファンでもないのに」「素人が保存できるのか」といった批判を浴びた。今では訪れた鉄道ファンからも「よく残してくれた」と評価されるようになった。同グループは就労継続支援事業所も手がけており、障害者の働く場にもなった。

 しかし、元々古い車両の上に雨ざらし。手入れも車体が大きく高圧洗浄ぐらいしかできない。至る所にサビが目立つようになった。業者に修繕の見積もりを頼むと1100万円もかかるという。

 100万円は用意できたが、コロナ下、飲食業で残りを賄うのは難しい。そこで広く資金調達できるクラウドファンディングを考えた。第一目標は700万円に設定。そこまで集まれば費用のかかる窓枠を除いて改修する。1千万円集まれば窓枠も直すことにした。

 8月21日から始めて第一目標はクリア。今月23日午後5時現在で743万3千円集まった。最初は仕事上の関係者からの大口が多かったが、今は小口の支援者が増えた。嶋田悟志社長は「きっと鉄道ファンだと思うんです」と話す。「私自身は北斗星に乗ったことはないんです。でもこうして多くの人から愛され、障害者の雇用の場でもある車両です。何としても残したい」と協力を呼びかけている。(堤恭太)