横浜のスケート場でEVカーレース 氷上の熱戦

小寺陽一郎
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 【神奈川】スケートリンク上で行う電気自動車(EV)レース「氷上電気カート競技会」が23日、横浜市港北区の新横浜スケートセンターであった。なぜ、あえて滑りやすい氷の上でレースをするのか。そこには主催者が込めた熱い思いがあった。

 普段はフィギュアスケートの練習などで使われるスケートリンクで4台のカートが速さを競う。聞こえるのは「キーン」というモーター音や、「ダダダダ」という氷とタイヤが接触して発する低い摩擦音のみ。

 電気自動車の普及に取り組む一般社団法人日本EVクラブ(東京都)が主催し、昨年に続き同センターで2回目の開催。この日は、呼びかけに応じた50人余りが参加した。神奈川県伊勢原市の会社員犬田行宣さん(45)は「滑りながらコントロールするという、自分の車では絶対できない体験ができた」と楽しそうに話した。

 レースで使われたのは、エンジンカート用の車体に市販のモーターやバッテリーを組み合わせた「エレクトリックレーシングカート」(ERK)。4本のタイヤには、それぞれ数十個以上の金属製スパイクが取り付けられている。タイヤ表面から5ミリ程度突き出ていて、時速約40キロで走る。

 日本EVクラブの舘内端(たてうちただし)代表理事によると、開催のきっかけは「氷の上でカートを走らせたら面白いのではないか」という単純な発想だった。当初は滑りすぎて走れなかったが、スパイクの数を調整し、カーブで後輪を横に滑らせるドリフト走行がやりやすくなった。通常のエンジンカートレースに比べ、ブレーキやアクセルのタイミングといった運転技術が直接的に反映されるのが特徴だ。

 フリーランスとしてかつてF1の開発に携わっていた舘内さんは「地球環境に配慮しながら人間が持っている生命体としての力を引きずり出したい」と話す。

 利点はまだある。電気自動車のため、騒音や排ガスがなく、天候に左右されず室内で開催できる。加えて、スケート人口減少に悩む全国のスケートリンクにとっては、新たな収入源になる可能性がある。同リンクの担当者によると、氷へのダメージは、アイスホッケーフィギュアよりも小さく、通常の整氷作業でメンテナンス可能だという。

 舘内さんは「余計なパワーや、でかいブレーキは不要。車体もやわでいい。拡大・成長とは正反対にあるが十分楽しめる。これぞSDGs(持続可能な開発目標)スポーツだと思う」と話している。(小寺陽一郎)