老朽化する消火栓、地域で管理にばらつき 劣化の把握、困難な場合も

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角津栄一
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 火災から住民を守る重要な消防設備、消火栓の老朽化が進んでいる。群馬県内では、9割以上が設置後30年超の地区もある。特に地下式は目視点検で確認できる範囲が限られ、部品の腐食で弁が破損し水が地上に噴き出す事故も発生。国は点検方法を各消防本部にゆだねており、地区によっては設置年数を把握していない。公共インフラの安全性が、地域によってばらついている。

 今年5月、群馬県藤岡市の県道で地下の消火栓が破損して水が噴き出し、復旧作業に約5時間かかった。市は破損事故の原因について、鉄製のボルトが経年劣化で腐食し、弁が水圧で吹き飛ばされたとみている。

 破損した消火栓は、メーカーが更新を推奨している設置後30年を過ぎていた。2014年の点検で一部のボルトやナットを腐食しにくいステンレス製の部品に交換していたが、今回破損した部分は補修した部分よりさらに地下深い場所にあり、劣化状況を確認できなかったという。

 破損事故を受け、市は今年度から3カ年計画で、設置から20年以上たった消火栓設備の点検、修繕をする。対象は約810カ所あり、設置している消火栓の約6割になる。事業費は、各年度で2千万円程度を見込む。今年度は設置後30年以上経った311カ所が対象で、9月補正予算に事業費を盛り込んだ。

 県内の消火栓の維持管理状況は、どうなっているか。記者が主な消防本部に管理状況をアンケートしたところ、高崎地区には地下式消火栓が約4600カ所あり、うち約9割が設置後30年以上(設置年月日不明を含む)だという。過去5年間に約110件の設備更新をしており、費用は約3480万円かかったという。富岡甘楽地区では30年以上が約9割を、伊勢崎、太田、渋川の各地区では3割から4割をそれぞれ占めていた。

 一方、前橋地区は個々の設置年数を把握していないと回答した。「定期調査し不備が認められたものは、水道局に修理を依頼し、常時使用可能な状態を保つよう努めている」と説明している。

 なぜ、地域によって管理状況にばらつきがあるのか。総務省消防庁によると、消火栓の点検管理を定めた同庁告示「消防水利の基準」で、「消防水利は、常時使用しうるように管理されていなければならない」と規定されている。「基準にもとづき、各消防本部が点検の頻度や要領を定めることになっている」という。

 全国統一のルールを定めない理由について「消火栓の管理は消防本部が担うが、水道局管轄の水道の施設でもある。設置されている土壌の性質も地域によって異なり、全国一律に点検手法を定めることはなじまない」と説明している。

 消火栓の耐用年数に関する法…

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