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国内有数の産地・宮崎に異変 葉タバコ農家の約半数が栽培中止の意向

平塚学 神崎卓征
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 宮崎市は、中心市街地に設置している指定喫煙所の一部を9月1日に撤去した。今後も減らしていく方針だ。昨春に屋内を原則禁煙とする改正健康増進法が全面施行されたことをきっかけに、屋外の受動喫煙にも風当たりが強くなったことが背景にあるようだ。

 「喫煙者に厳しいですよね。中心街は外でたばこを吸うところが少ない。ほかにどこか喫煙所を作ってほしいのだけれど……」

 買い物帰りに一服していた主婦がそうこぼした。8月下旬、橘通3丁目交差点にあるデパート宮崎山形屋前の指定喫煙所。喫煙者にとっての「オアシス」が撤去される直前だった。

 指定喫煙所ができたのは2007年4月。「ごみのぽい捨ての防止及び公共の場所における喫煙の制限に関する条例」が施行され、市は中心市街地の若草通りと一番街、橘通り(国道220号)両側の歩道を対象に、ポイ捨てなどで罰則の対象となる「美化推進区域」と「路上喫煙制限区域」を制定。両区域内に十数カ所の指定喫煙所を設けた。

 喫煙者への逆風は強まる一方だ。20年4月1日には、喫煙者の煙を吸う「受動喫煙」の被害などを背景に改正健康増進法が全面施行。住宅やホテル客室などの居住空間を除く大半の施設が屋内禁煙になった。小規模な飲食店や施設内の喫煙専用室で喫煙できるのは、例外的な位置づけだ。

 同法の全面施行と市民や商店街からの要望を受け、市は今年9月、現存する12の指定喫煙所のうち、山形屋周辺の3カ所を閉鎖。12月にも1カ所を閉鎖する予定だ。担当者は「市の条例施行から十数年が経ち、受動喫煙をめぐる社会情勢も変化している。今後は指定喫煙所の閉鎖状況を見ながら、残りの8カ所も徐々に減らしていきたい」と話す。

 全国たばこ耕作組合中央会によると、たばこの販売価格の値上がりや健康志向に伴う喫煙者の「たばこ離れ」を受け、国内有数の葉タバコ産地だった宮崎県の生産量は落ち込み続けている。全国1位だった2000年の7124トンから昨年は1130トンに減少して6位になっている。

 県内の喫煙率も下がり続けている。国立がん研究センターの統計では、01年の27・5%、07年の22・8%、13年の21・3%と減り続け、19年は19・2%。全国平均の18・3%は上回っている。(平塚学)

農家半数「今作限り」

 県内の葉タバコ農家の約半数が、今作で栽培をやめる意向を持っていることが分かった。県によると、日本たばこ産業(JT)の生産減の求めに対し、栽培農家全体の約46%に当たる118戸が申し込んだ。多くは露地野菜など別の作物に切り替えるという。

 県農産園芸課によると、JTによる生産縮小は2011年以来10年ぶり。栽培をやめる農家には、10アールあたり36万円の協力金が支払われる。やめる農家は野菜や果樹、飼料用作物の生産に転換するとみられる。

 県内には現在、257戸が計459ヘクタールで生産している。今回やめる意向を示している118戸が栽培をやめたら、耕作面積は全体で286ヘクタールになる。(神崎卓征)