コロナ禍で余るコメ、外食需要減が農家直撃 新たな需要開拓へ

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佐藤亜季、戸田拓、三木一哉、松尾一郎
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 出来秋の北海道内で、米の収穫が最終盤を迎えた。生育は良好で味も期待できそうだ。ただ、新型コロナウイルスの影響で外食向け需要が減り、米価は下落傾向。古米の在庫も増え、農業関係者は需要開拓に頭を悩ませている。

【動画】頭垂れる黄金の稲穂 北海道で米の収穫=戸田拓、本田大次郎撮影

 9月中旬。うっすらと明るくなってきた午前6時半、ホクレンなどでつくる上川ライスターミナル(鷹栖町)に、刈り取ったばかりのモミを満載したトラックが続々とやってきた。20日ごろまで、計1万トンが運び込まれた。施設の佐藤直樹常務は「天気に恵まれ高温だったため、出来はよさそう。たんぱく含有量も低そうで、おいしいものが期待できる」と話す。

在庫は例年の3倍以上

 ただ、各地の倉庫にはすでに多くの古米の在庫がある。ホクレンは10月末時点で、5万9千トンの古米を繰り越し在庫として抱える見込み。新米収穫時点の在庫としては、例年の3倍以上という。コロナ禍で時短営業や休業を強いられた飲食店の需要が減り、在庫が積み上がっている。

 「コメ余り」を背景に、コメ生産者への対価は大きく下落しそうだ。ホクレンは、農家への仮払金となる「概算金」を2年連続で引き下げた模様だ。これが卸売価格の目安となる。

 関係者によると、2021年産のブランド米「ななつぼし」の概算金は、60キロあたり1万1千円で前年比2200円の下落。20年産は同300円下落の1万3200円だったが、下げ幅が大きく拡大した。関係者は「米価下落は生産意欲にかかわる。高齢の営農者も多く、離農者が相次ぎかねない」と心配する。

 生産者も環境の変化に対応しようとしている。

 千歳市幌加地区の農業、橋場正人さん(45)は12ヘクタール分の刈り取りを終えた。「作柄は例年よりはいい」とし、ゆめぴりかなど約70トンを地元農協に出荷する。

 橋場さんがコンバインで刈り取り作業していた水田の向こうには納豆の原料となる大豆、ユキシズカの畑が広がる。

 道のコメ作付面積は、在庫や需要予測などに基づき、道やホクレンなどでつくる道農業再生協議会水田部会が毎年末に出す「生産の目安」で事実上決められる。コメ需要の減少で作物の転換がここ数十年、促されてきた。橋場さん一家も親の代で2ヘクタールの水田を大豆畑に変えた。「(コメの作付面積の)水張り面積はできれば維持したいのが本音。しかし人々が食べるものも少しずつ変化しているので、状況に応じて変わっていかないと」と話す。

「マツコさん」起用の企画がヒット

 道産米の需要を開拓する試みも始まっている。

 ホクレンなど関係団体は6~8月、道産米の半数超を消費する道外で、「ななつぼし」を7%増量して販売するキャンペーンを展開した。マツコ・デラックスさんを起用した統一デザインで「マツコのお福分け 今だけ増量中」と袋に表示。実質的な一斉値下げといえる異例の企画だが、これが当たった。

 他産地からもシェアを奪ったとみられ、8月末の在庫は4月末時点から半減の8万9千トンになった。新米についても、10月から同様のキャンペーンを道内外で展開する予定だ。都道府県別の販売実績シェアで、今年(6月末現在)は2年ぶりに新潟県に1位の座を奪われており、失地回復も目指す。

 道内向けには新たなキャンペ…

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