参院選の1.5億円「買収資金でない」 幕引き図る自民に批判相次ぐ

有料記事自民公明

大久保貴裕 東郷隆
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 2019年参院選広島選挙区をめぐり、自民党本部が河井克行元法相夫妻側に提供した1億5千万円。党本部が22日に「買収資金ではない」とする発表を突然行い、地元・広島では波紋が広がった。衆院選前に幕引きを図る狙いとみられるが、説明内容が「生煮え」で、身内からも批判や不満が噴出した。

地元自民議員「衆院選にマイナス」、党員「火に油だ」

 自民党の柴山昌彦幹事長代理は22日、1億5千万円について「(買収などに)使った事実がない」とする記者会見を開いた。約1億2400万円が機関紙の作成などに充てられ、ほかに人件費や事務所費などがあったとする河井夫妻作成の報告資料をそのまま発表。裏付けとなる領収書なども示さなかったが、「私どもとして出来うる最善」と語った。

 「説明が不十分だ。1億5千万円の全貌(ぜんぼう)が明らかになっていない」

 自民党の平口洋衆院議員(広島2区選出)は23日、朝日新聞の取材にこう指摘した。5月、県連会長の岸田文雄政調会長とともに党本部を訪ね、二階俊博幹事長に説明責任を果たすよう直接要請していた。

 平口氏は、新首相が決まる直前の会見に「新しい政権に疑惑を引き継がないための配慮だろうが、この総括の仕方は衆院選にマイナスだ」と憤った。

 同じく自民党の寺田稔衆院議員(広島5区選出)は「説明に一定の評価はできる」としつつ、落選した自民候補の10倍にあたる額を拠出した理由の説明には首をかしげた。

 党本部は立候補した案里氏について「苦戦が見込まれ、重点的に交付した」などとするが、寺田氏は「後発候補とはいえ、地元では知名度は高かった。なぜ桁違いの額が必要だったか、金を出した党本部にはもっと踏み込んだ説明を行う責任がある」と述べた。

 現場では、怒りやあきらめの声が飛び交っている。

 広島県内のある自民党支部長は、二階氏の部下にあたる「幹事長代理」が会見する様子をニュースでみながら、「馬鹿にしているのか。二階氏が出てこいよ」と声を荒らげた。二階氏はこれまで、責任者は「党総裁および幹事長」と明言していたが、この日の会見に出席することはなかった。

 最近の地元会合などでも「カ…

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